畑岡奈紗(21=フリー)が7ホールに及ぶプレーオフの末敗れ、米ツアー4勝目はならなかった。

19日の最終ラウンドで畑岡、ガビー・ロペス(メキシコ)、朴仁妃(韓国)が並んだプレーオフは3ホール目で朴が脱落。5ホール目で日没順延となり、一夜明けて再開された2ホール目、通算7ホール目にロペスのバーディーで決着した。優勝こそ逃したが、五輪イヤーの開幕戦でいきなり優勝争いを演じ、世界にその実力を見せつけた。大会は過去2年に優勝経験のある26人で争われた。

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2日間に渡る死闘は、畑岡が3・5メートルのバーディーパットを外し決着した。プレーオフ7ホール目。その前にロペスに6メートルのバーディーパットを決められた。下りの難しいパットは、無念にも左に切れていった。「こんな長いプレーオフは初めて。ピンチもある中、粘り強いプレーができた」。米ツアー通算4勝目を逃したが、畑岡はさばさばした表情だった。

過去2年間の優勝者しか出場できない大会で4日間60台をマーク。毎日スコアを伸ばし、19日の最終ラウンドの13番で単独首位に立った。結果的にはロペス、朴仁妃との3人によるプレーオフ。16年リオ五輪の金メダリストの朴仁妃、同じ五輪に出場したロペスとの戦いは、まさに半年後に迫った東京五輪前哨戦。3ホール目で朴仁妃が池ポチャで脱落。ロペスとの息詰まる戦いは日をまたいで続いた。

オフにはスイングが安定するようにと上半身と強化に取り組んだ。その成果がショットの正確性に表れた。フェアウエーは1度、グリーンは4度しか外さず、絶妙なアプローチで何度もピンチをしのいだ。「ショットが良くなり、(オフに練習した)ドローとフェードの打ち分けもコース上でできるようになった」と手応えも口にした。

敗れはしたが、朴仁妃と並んで2位となり、13日発表時点で6位の世界ランクのアップも見込める。「出場できたら金メダルを取りたい」と燃える東京五輪を前に、今季はツアー勝利、さらにメジャー初勝利を目指す。頭の中には「世界ランク1位で五輪に臨む」という青写真も描いている。勝負の1年へ、畑岡は大きな収穫を得てスタートを切った。