日本ゴルフツアー選手会の会長を1月末から務める時松隆光(26=筑紫ケ丘GC)が「一致団結」で、ゴルフ界を盛り上げることを誓った。

男女とも国内初戦から中止が続く中、緊急事態宣言発令前にインタビューに応じた。テレビのバラエティー番組でも人気上昇中だけに、選手会長としてはまじめに、一選手としては失敗談と笑いを交えて、心境を語った。

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新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、男子は5戦、女子は10戦連続で、国内初戦から中止が続く。その中にあって、男子の新選手会長となった時松は、今季のスローガンとして「一致団結」と色紙に書いた。

時松 一番に思うのは、早く収束してほしいということ。やっぱりギャラリーの方に見ていただきたい。プロになったからには、その気持ちは選手みんなあると思います。見ていただいてナンボの仕事。開催できれば全力で選手は頑張る。

今は我慢の時と、選手全体の思いを代弁した。先が見えない状況で、モチベーションを維持できるのも観衆の存在が大きいという。過去3度のツアー優勝で味わった、最後のパットを決めた瞬間を、今も時々思い返し、活力にしている。

時松 あの瞬間があるから頑張れる。「今まで頑張ってきてよかった」と、数秒間だけですが思います。

だからこそ、今は握手など直接的な接触は避けなければならないが、SNSなどを通じてファンとの交流も図りたいと考えている。

時松 (前選手会長の)石川遼さんとも話しているのですが、もっと男子ゴルフをアピールしたい。選手も、いろんな意見はあると思いますが、同じ方向を向いていかないといけない。

若手の部類だが、フジテレビ系番組「ジャンクSPORTS」に3度出演し、知名度は上昇中だ。同番組では、とぼけた返答を司会のダウンタウン浜田雅功に突っこまれ、愛されキャラが浸透。ゴルフ界内外で、本名の源蔵から「ゲンちゃん」の愛称で親しまれる。

時松 お酒は弱いんですけど、同じ大会に出ると、池田勇太さんに誘われるようになりました。きっかけは2017年。9月のANAオープンでプレーオフで池田さんに負けたんですけど、2週間後の大会前の練習ラウンドで池田さんがいた。母と同い年で、今もキャディーをやってもらっている吉岡雅子さんに「『勉強で一緒に回らせてください』と言ってきなさい」と言われ、最初は「えーっ」と思いました。だってイメージが怖いじゃないですか、池田さん(笑い)。でも言ったら「おう、来い」と。以前はアプローチでスピンをかけてばかりだったのですが「そんなのばかりじゃダメ」と、転がし方とか教えてもらいました。すごく優しくてビックリ(笑い)。

池田には、ゴルフ技術以外にも、プロゴルファーとしての礼儀などを学んだ。

時松 ANAオープンは主催者も大会も、イメージカラーが空の青なのに、全然違う色のウエアを着て出たんです。すると池田さんから「お前、主催者のことも考えろ。普通は青」と怒られました。同じく企業カラーが青のミズノの契約プロが集まる会合でも、赤いネクタイをしてしまい「この前も言っただろ」と。池田さん、その会合に出てないのに、どこかで情報を仕入れていて怒られました。

厳しくも優しい助言をくれる池田や石川が、選手会副会長を務めるだけに「助かっています」と、素直に感謝する。不慣れな会長職で、いきなり困難に直面。それを高い山に例え「それを越えて下れば、あとは上るだけ」。終始、前向きに語っていた。【高田文太】

◆時松隆光(ときまつ・りゅうこう)本名は源蔵(げんぞう)。1993年(平5)9月7日、福岡県生まれ。沖学園高1年時の09年に全国高校選手権九州選手権で優勝。11年には九州アマ優勝。12年3月にプロ転向。16年ダンロップ・スリクソン福島オープン、17年ブリヂストンオープン、18年関西オープン優勝。168センチ、75キロ。