2020年の男女ゴルフツアーが新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、開幕戦からストップしている。ここまで中止、延期となった各大会の名場面を振り返ります。

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▽2018年(平30)大会(4月20~22日、静岡・川奈ホテルGC富士C)

永峰咲希がプロ5年目で待望のツアー初優勝を手にした。最終日は首位と3打差で出て66。通算10アンダーで菊地絵理香とのプレーオフ2ホール目にパーセーブで勝負を決めた。アマチュア時代は同学年の柏原明日架、堀琴音らの陰に隠れがちだったが、優勝は一番乗りとなった。

最終日最終18番パー4は単独首位で迎え、パーなら優勝だったが、3パットのボギー。「優勝争いらしい優勝争いもしたことがなかった」と言い、最終日の3ホールで未体験の緊張感に襲われた。

最後は腹をくくった。緊張を「新しい発見」ととらえ、菊地とのプレーオフに臨んだ。18番パー4の2ホール目に菊地のボギーで優勝を手にしたが、2ホールとも迷いのないドライバーショットで距離を出しフェアウエーを捉え、勝負を優位に進めた。

頑固な性格で公務員の父賢一さん、母香奈子さんをやきもきさせてきた。それでいて、自分のことより、他人の喜ぶ顔を見たがる。プロゴルファーになったのも「自分は“そうなるもの”と思っていた」と言い、師匠のトップアマ池田兼武さんや、両親の期待にこたえたい思いが強かった。

開幕前のオフ。テレビ番組で一緒になった元賞金女王・古閑美保のアドバイスで、練習内容を見直した。打ち込み量を1日約300球から600~700球へ。ツアーに帯同する香奈子さんは「今年はゴルフと向き合う姿勢が違った」という。豊富な練習に裏付けされたショット、パットに自信を持ち始めていた。

同じ宮崎出身の柏原が、いつも前にいた。堀の活躍も刺激になった。同学年のライバルたちをじわじわ追い上げ、初優勝という形で先んじた。「時間がかかったけど、いい勝ち方ができた。優勝は想像していたより、何倍もうれしいとわかりました」。名実ともにプロゴルファーとして、大きな1歩を踏み出した。

■過去5年の優勝者

15年 藤田光里 -7

16年 大山志保 -11

17年 吉田弓美子 -12

18年 永峰咲希 -10

19年 申ジエ -8