元賞金女王で賞金シード選手最年長の大山志保(42=大和ハウス工業)が新たな試みに挑戦中だ。ゴルフを始めた10歳から、30年以上同じだったグリップの左手の握りをロングサムからショートサムにかえた。2月に一般男性と結婚。今季の目標をミセス初Vとなる「2年ぶりのツアー通算19勝目」に定める。新型コロナウイルス感染拡大の終息、そして、ツアー開催を待ち望んでいる。

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バーディーを奪うと、右拳を激しく震わせるガッツポーズが代名詞だ。そんな大山の“熱”は、ツアーが動かぬ今も変わらない。

「モチベーションは落ちてませんよ。『もっとああしたい、こうしたい』というのはずっとあるので」。宮崎市の実家にいて、1人で練習する。新たな試みもある。ゴルフを始めて30年以上同じグリップの左手の握りを、1月にかえた。左手親指全体でクラブを支えるロングサムから、第1関節あたりで支えるショートサムへ。不惑の挑戦だ。

18年11月伊藤園レディースを欠場した。左手親指けんしょう炎だった。「ロングサムは、負担が大きい。何度かかえようとしたけど、失敗ばかり。今回は2日だけ“もう無理”とロングサムに戻したら、またすぐ痛みが出た。『神様が頑張れ』と言ってくれてると思った。もう絶対に戻しません」と決意を語る。

長引くコロナ禍で、落ち込んだ時期もある。3月29日、志村けんさんが亡くなった。「ものすごくショックでした。試合で『頑張って』と言ってくださった。知っている人が亡くなった。1週間ぐらい、練習もできませんでした」という。

動きようのない日々を、どう過ごしているのか。「小さな幸せを見つけてやっていきたい。ごはんが食べられる。洋服も着られる。小さい花が咲いてたら、ありがとうって。そんな気持ちでいたいです」-。42歳になっても謙虚で、前向きなプロゴルファーたろうとしている。【加藤裕一】

○…大山は2月に一般男性と結婚した。夫は福岡在住の会社員で、別居婚が続く。「付き合って3年ほどでした。年上ですけど、若く見える。今は会うのは2週間に1度ぐらい。新婚気分は全然なく、こんな状況だし『当分会えないね』と話しています」。婚姻届は出したが、挙式、新婚旅行は未定という。「次のオフに-とも、思いますが(感染拡大が)終息しないと…。(式や旅行は)引退後とか、10年先とかでも、と思っています」と話した。

◆大山志保(おおやま・しほ)1977年(昭52)5月25日、宮崎市生まれ。10歳の時、テレビドラマ「プロゴルファー祈子」を見て、ゴルフを始める。熊本女子高に進み、元JLPGA会長の清元登子門下入り。94年に日本女子アマ優勝。日大で99年日本学生優勝。00年プロテスト合格。06年賞金女王。16年リオ五輪代表で42位。ツアー通算18勝。168センチ、62キロ。