新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日本のプロゴルフ界も止まっている。選手だけでなく、キャディー、スタッフ、ゴルフ場や用品関係者なども大打撃を受けている。18年まで松山英樹(28)のエースキャディーとして帯同し、その後はテレビ中継の解説などでも活躍する進藤大典(だいすけ)氏(39)が、現状を語った。【聞き手=岡田美奈】

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-米国も日本もゴルフツアーは止まってます

進藤 僕もPGAツアー(米ツアー)の解説の仕事や、予定していたYouTubeの撮影が取りやめになったり、携わっていたゴルフ観戦ツアーがなくなってしまいました。

-外出自粛中の時間の過ごし方は

進藤 新しい試みとしては料理を始めました。奥さんを手伝う意味と、やはり手を動かしていたいということからです。それまで包丁を握ったことなどなかったから、料理の大変さがやっとわかりました。

-米国で活動していた時はお子さんと会える時間も限られていましたよね

進藤 子どもといる時間が増えて、それは家族にとってかけがえのないものですが、同時に学校の大切さや、先生方の大変さも身に染みています。

-選手やキャディー、スタッフの皆さんはどう過ごしているのでしょう

進藤 (松山)英樹もそうでしょうが、各自ができる範囲で(ツアー再開に向けた)準備をしているはずです。ただ、本当の出口が見えない不安や、人と会えないストレスはみんな感じていると思います。

-ツアーがどう再開できるかという不安ですね

進藤 まず命が一番大事で、その次に経済が回り始めて、スポーツやイベントはその後ですよね。無観客でも早く再開した方がいいのか? 例え今年に試合ができても、果たして来年はどうなるのか? スポンサーによっては続けられないところも出てくるかもしれない。そういう意味でも不安ですが、今はみんなで力を合わせて、1人1人が意識して、この状況を乗り越えていきたいです。

-米国も同様ですか

進藤 米国は日本よりも感染者数も多いし、もちろん不安はあるはずです。マスターズも秋開催の予定ですが、例年のような観客数は望めないでしょう。少なくとも米国外から観戦に来るのはハードルが高い。一方、つい先日聞いた話では、米国でプロレスの無観客試合が有料配信サイトで例年の2倍以上も視聴されたそうです。人々の応援する力、スポーツの力が衰えたとは思いません。どんなスポーツでも再開した時は、「自粛疲れ」したファンを元気づけ、勇気づけられると信じています。

-かつてライバルだったウッズとミケルソンが組んでチャリティーマッチをしました

進藤 (感染状況に対して)思ったよりも動きが早いですね。経済を動かそうとするトランプ政権、米国らしいな、と感じます。

-米ツアーは6月再開に向けて準備している

進藤 さまざまな対策が検討され、予定通りに再開されれば、1つのモデルケースになるでしょう。日本のスポーツ界もこれを参考にして、いいところは取り入れてほしいです。

-今、日本のゴルフツアー関係者ができることは何でしょうか

進藤 やはりSNSを通じて、ファンの方々と交流することだと思います。ファンとスポンサーあってのプロスポーツですから。また、チャリティー活動などを行えるようになる時に向けて、いろいろ知恵を絞る時期かもしれません。