新型コロナウイルスの影響で、約4カ月遅れの開幕戦。無観客で始まったシーズン初日、渋野日向子(21=サントリー)がプロ初のうっかりミスを犯した。5番パー4グリーンで、同伴競技者のライン上にある自分のボールマークを動かし、戻し忘れて「誤所からのプレー」で2罰打。まさかのダブルボギーも、イーブンパーの72にまとめ、首位と6打差59位につけた。黄金世代の原英莉花(21)が4アンダーの7位、新人の笹生優花(19)ら3人が6アンダーで首位に並んだ。

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やっちゃった-、穴があったら、入りたい。パットを沈めた渋野が定由早織キャディーの顔を見た瞬間、大変なことに気づいた。

「あっと思った。もう怒りより、情けなくて笑っちゃいました」

強い雨の5番パー4のグリーン。6メートルのバーディーパットが1メートルショートした。ボールマークが同伴競技者のラインにかぶり、パターヘッド分ずらした。それを戻さず、打った。パーのはずが「誤所からのプレー」の2罰打でダブルボギーになった。

「初めて」という初心者のような大チョンボは、大雨のいたずらでもあった。パーパット前、マークをずらした後、大会スタッフがグリーン上の水をローラーで掃き出す作業を約5分、行った。「忘れないように、とキャディーさんと話した」のに完全に忘れた。

ルール違反によるペナルティーは、過去1度ある。岡山・上道(じょうとう)中だったジュニア時代の過少申告。「今日、2打損してしまったので、これからのゴルフ人生でマークを戻さなかったことは絶対に忘れない」。自分に言い聞かせるように話した。

約4カ月遅れの開幕で、無観客試合。降雨で1時間スタートが遅れた。前夜にPCR検査の結果がわかり、この日午前4時47分ごろ、千葉で最大震度5弱の地震があった。「検査結果にはかなりドキドキしました。地震は起きて2分後。けっこう長く揺れて、布団をかぶり直しました」。普通じゃない状況で、とどめの失態。ただ、そこで終わらない。3オーバーから、終盤5ホールの3バーディーでイーブンパーに戻した。課題のアプローチは4回あり、今オフ練習した52度のウエッジで3回トライ、2回パーをセーブした。

この日は雨の影響を大きく受けた午前組で、第2日は午後0時10分のインスタート。夕方に向け、7メートル前後まで風が吹き、雨も強まる予報で、天候に恵まれそうもないが「もっとバーディーをとって、もっと攻めのゴルフがしたいです」。何が何でも、大恥を取り返すつもりだ。【加藤裕一】

◆ゴルフ規則14-7「誤所からプレーすること」のa プレーヤーは自分の球が止まった場所から各ストロークを行わなければならない。違反した場合は「一般の罰」(マッチプレーではそのホールの負け、ストロークプレーでは2罰打)がつく。