エキシビションではあるが、今季初の国内大会で、石川遼(28=CASIO)が首位と2打差の5位と好発進した。7バーディー、1ボギーの6アンダー、64。新型コロナウイルスの影響で無観客、プロ初のキャディーなしで行われ、さらに悪天候で開始が1時間遅れるなど、通常と異なる条件が相次ぐ中、2日間のツアー外競技の頂点を射程圏にとらえた。8アンダーの堀川未来夢が単独首位に立った。

スマートな立ち居振る舞いが代名詞の石川の、日本での今年最初の1打は、まさかの凡ミスで始まった。1番ティーエリアに入ると、わずかにいた関係者の拍手に、堂々と右手を挙げて応えた。だが、直後に恥ずかしそうに苦笑い。左手にグローブをつけ忘れたことに気付いた。急いでバッグから取り出し、仕切り直し。関係者から和やかな笑いが起き、明るい雰囲気に包まれた。

国内男子の試合は、シンガポールで行われた1月の開幕戦以来。石川も2月末の米ツアー、ホンダ・クラシック以来の実戦だった。「試合勘が失われていた。かなり緊張はあった」。試合から遠ざかっていたことを物語るシーンとなった。

それでもプレーはさえていた。14番は7メートルのパットを沈め、16番は1メートルにピタリとつけるなど、パー3で3バーディーを奪った。キャディー不在で、選手全96人のうち90人が電動手押しカートを利用。自らバッグを担いだのは石川ら6人だけだった。疲労も重なるが「試合がやれてよかった」と喜んだ。国内ツアー再開は未定だが、出場資格を持つ8月6日開幕の全米プロ選手権は「出場したいと思ってます」と明言した。【高田文太】