渋野日向子(21=サントリー)が、屈辱的なプロ2度目のバーディーなしで、初めて経験するリンクスコースの洗礼を浴びた。6ボギー、1ダブルボギーで、8オーバーの79。ホールアウト時点で首位と12打差となった。バーディーなしは18年アース・モンダミン・カップ以来。日本人初のメジャー連覇を狙う、AIG全英女子オープン(20日開幕、スコットランド・ロイヤルトルーンGC)の前哨戦は、予選通過が厳しくなった。

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持ち前の笑顔が消え、表情は凍り付いていた。霧のため全選手が約2時間遅れでスタート。渋野は1番のティーショット後こそ、試合前に「私らしく笑顔で」と誓った通り、笑顔のマイペース発進。だが3番で1メートル、4番で3メートルのパーパットを外して連続ボギーをたたくと、7番パー5で崩れた。「入れたらダボもあると思った方がいい」と警戒していた、日本にはない深い形状のバンカーに第2打を入れた。さらに「ロストボールもありえる」と、同じく警戒していたブッシュに入れてダブルボギー。その後も立て直せなかった。

終わってみれば、約2年ぶりにバーディーなしだった。プロ36戦、114・5ラウンドで2度目の屈辱。この日のスコア「78」も、パー71とはいえ、プロではワースト3位のスコア。昨年4月のKKT杯バンテリンレディースで最下位だった第1日の「81」、プロデビュー戦だった17年9月の日本女子オープン第1日の「79」に次ぐ数字だった。

開始遅れの原因となった悪天候になることは、心身ともに準備していた。12日のリモート会見で「思った以上に天気がいい」と、それまでの好天がむしろ珍しいと感じていた。初めて経験する海沿いの本格的なリンクスコースは、天候が変わりやすい。風の影響を受けにくい低い弾道のショットを練習し、その中で「低い球でも飛距離は伸びた」と、渡英後も筋力トレーニングを欠かさず、米ツアーで通用する体に仕上げた。

09年全英女王で50歳のスコットランド出身マシュー(英国)と、昨年ルーキーにして欧州ツアー賞金女王のヘンゼライト(ドイツ)と回った。同じくリンクスコースとなる、AIG全英女子オープンが行われるロイヤルトルーンGCへ「勉強になる」と話していた。だがリンクスコースの洗礼に、途中からは萎縮したように強気のパットも影を潜め、12番パー3では3パットでボギー。日本人初のメジャー連覇、計3戦のメジャーに出場する約2カ月の人生最長の欧米遠征は、険しいスタートとなった。