女子ゴルフの渋野日向子(21=サントリー)に笑顔が戻った。日本人初のメジャー連覇に挑むAIG全英女子オープン(20日開幕)に向けて、会場の英国スコットランド・ロイヤルトルーンGCからオンラインで会見。前哨戦のスコットランド・オープンは通算14オーバーの132位で予選落ちと惨敗したが「めちゃくちゃ元気です」と、切り替えた様子を見せた。前年優勝者としての重圧も口にしていたが「楽しむ」と、偉業に向けて原点回帰した。

どん底を経験し、渋野は開き直ったように明るい笑顔を振りまいた。体調を問われると「めちゃくちゃ元気です」と即答。前哨戦で予選落ちした直後は自虐的なコメントと、ひきつった笑顔ばかりだったが一転した。「(スコットランド・オープンが)終わった時はディフェンディング(チャンピオン)なので『下手なゴルフはできない』という思いがこみ上げたけど、それは消え、自分なりに楽しめたらいいかなと思えるようになった」と笑った。重圧と楽しみの割合も「6対4で、6が楽しみ」。連覇へ最初の壁を乗り越えた。

前哨戦で渋野は、初めて経験するリンクスコース特有の、深い形状のバンカーや長いラフ、硬いグリーンなどに苦戦した。2日間でバーディーは1つに終わり「情けなくて申し訳ない」と、ファンに謝罪した。その翌日の15日から早速、練習を再開。全英の会場となるロイヤルトルーンGCでも、すでに17日に18ホールを回り、18、19日も練習ラウンドを行う。「先週よりも回りやすいなと感じる。雨が降っていたのか、グリーンも柔らかい。バックスピンもかかる」と、本来のプレーに近づける手応えも感じていた。開幕の20日からの雨予報も、渋野にとっては後押しとなる。

会場や周辺には、至る所に渋野の写真入りポスターなどが張られ、専用駐車場も用意されていた。「ディフェンディングでこの試合を迎えられるのは、一生に一度、あるかないか。本当に感慨深い。すごく誇りに感じた」と語った。

男子メジャーの全英オープンも開催する名門コースの雰囲気に、押されそうにもなるが第1、2ラウンド(R)はゲンの良い組み合わせとなった。同組のヘンダーソン(カナダ)は昨年の練習ラウンドで一緒に回り、同じくブハイ(南アフリカ)は昨年第3、4Rでも同組。「去年のイメージを持ちながらできる。楽しんで回れると思う」と歓迎した。挑戦者の気持ちを取り戻し、会見では終始笑顔だった。【高田文太】