ツアー競技プロデビュー戦でミレニアム世代の渋沢莉絵留(19=フリー)が、首位と2打差2位に急浮上した。「日本資本主義の父」とされる渋沢栄一と家系でつながるルーキーは54位から出て6バーディー、ボギーなしの66。通算6アンダー、138で堂々の予選通過を決めた。今年4戦2勝の笹生優花(19)も2位。ペ・ヒギョン(27=韓国)が同8アンダーで首位に立った。

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プロのツアーデビュー戦、しかも国内メジャーで飛び出したビッグスコア66。渋沢自身が驚いた。「いや、ビックリです。こんなに急にバーディーがとれるなんて…」。昨年のプロテストに合格、ツアー優先出場順位を決める最終QTが85位と本来、今大会出場は厳しかった。ところが、コロナ禍で選考会が中止され、次点補充者枠が37人に拡大、出場132人中126番目の資格が転がり込んだ。

ただ、2位浮上は努力の結果だ。前半11番で奪った最初のバーディーは「昨日残って練習した距離」の108ヤードをピン5センチにつけた。コロナ自粛期間中、朝6時半から9ホールを回り、2~3時間のショット練習をし、帰宅後にパット&アプローチ…。その日課を数カ月も繰り返した。

大きい肩書がある。「日本資本主義の父」とされ、24年からの新1万円札の“顔”になり、21年NHK大河ドラマ「晴天を衝け」で描かれる渋沢栄一と家系でつながる。「どこまで近いかはあまりわからなくて」と申し訳なさげに説明するが、ゆっくりした口調に「品」が漂う。コロナ禍に「私にできることを」と地元の群馬県太田市にマスク8000枚を寄付する。

古江、安田ら同じミレニアム世代の仲間、笹生ら年下のプロ合格同期が脚光を浴びる中、少し遅れて第1歩を踏み出した。「笹生さんとはプロテストの初日、同組。飛距離がすごくて、ドライバーは50ヤード以上、おいていかれました」と苦笑いするが、焦りはない。「引っ張ってもらってます」という同期との上位争いに、渋沢の胸は躍る。【加藤裕一】

○…今大会開催コースで行われた昨年プロテスト合格者9人が、決勝ラウンド進出を決めた。日本で珍しいリンクスコースを経験した強みもあるのか、笹生、渋沢、西村が2位で並び、ミレニアム世代の吉田が17位、同じく安田が23位、笹生と同じ“高校生合格”の西郷、山下が23位など予選落ちは87位のイ・ソルラ、セキ・ユウティンの2人だけ。西村は「このコースで一緒に合格した仲間と上位で戦えたら最高」と話した。

◆渋沢莉絵留(しぶさわ・りえる)2000年(平12)12月24日、群馬県太田市生まれ。母麻由美さんが「悟りを得る」という言葉から「りえる」と命名。ゴルフは9歳から。福岡・沖学園高3年で日本ジュニア3位。アマチュアでツアー出場8戦。昨年のプロテスト6位合格し、ツアー出場優先順位を決める最終QT85位。目標のプロはタイガー・ウッズ。160センチ、60キロ。