ツアー通算13勝の成田美寿々(28=オンワードHD)が今季第5戦、8ラウンド(R)目で初のアンダーパー、69をマークし、4打差15位発進した。8月中旬の第2戦NEC軽井沢72の1Rでツアー自己ワースト「92」をたたいて1カ月。絶不調の要因だったドライバー(1W)ショットに「怖さはなくなった」と復活を宣言した。

最終18番パー4、この日最後の1Wショットは左の池に消えた。体が止まり、フックした。しかし、第3打をグリーン前に運び、アプローチを50センチに寄せてボギー。冷静なリカバリーで、69にまとめた。「あれは体が止まっちゃいましたね。でも、もう怖さはなくなりました」としっかりした口調で、今季初のアンダーパーを振り返った。

今季初戦アース・モンダミンカップ前から感じていた1Wの不安が、続くNEC軽井沢72第1日に爆発した。右へ左へ。時には林も越え、隣のホールに飛んだ。通算13勝のトッププロが、プロ9年目でワーストスコア92を記録。「ボールがホールの幅に行かなくて…」と号泣し、左手親指痛を理由に棄権した。

約1カ月のV字回復だ。「恐怖を避けてたんですが、逆に怖さを確認するようにした」。練習場でなく、コースで現実と向き合った。練習ラウンドではまず「左が怖い、右が怖い」と嫌なイメージを認識。「その上でかなり細かく球筋を決める。“あそこに球を出して、あそこに落とします”と宣言して、打つようにした」。自分を奮い立たせ、規定上限の2球を打ち、成功体験を重ねた。

「周りがみんな、必死に元気づけようとしてくれて」。仲のいい青木瀬令奈は練習ラウンド、食事もともにし、勇気づけてくれた。この日は青木にもらったボールマークを“お守り”にプレーした。「やっとこさです。みんなに(復調が)“早かったね”と言われます。私も正直、長引くかなと思ったけど」。ツアー屈指の元気者に明るさが戻った。【加藤裕一】

 

◆成田の92 8月14日のNEC軽井沢72第1ラウンド(R)で記録。プロ転向1年目の12年からツアー出場253戦目、755・5R目で初の90台、従来の自己ワーストはプロ4戦目の12年ヤマハレディース第1Rの85だった。