ミレニアム世代の古江彩佳(20)がプロ初のツアー優勝を挙げた。同じ首位スタートの「最強アズマ軍団」東浩子(28)と18番でバーディーを奪い合い、通算15アンダーでプレーオフ(PO)へ。18番パー4のPO1ホール目、第2打をピン20センチにつけるスーパーショットでバーディー決着させた。昨秋にアマチュア優勝し、プロ転向して10戦目。賞金ランクは6位浮上、秘めた野望「ルーキー賞金女王」へ、力強い1歩を踏み出した。

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世代闘争が激化する女子ゴルフ界に、衝撃を与えた。18番パー4のPO1ホール目。東が第2打をピン7メートルにつけると、古江は「攻めるしかない」と思った。ピッチングウエッジを剣道のように両手で持ち、左目を閉じた。114ヤード先のピンに集中した。フェアウエーからのショットはピン前30センチに落ち、ピンに当たり、20センチ横に止まった。

「手応えがすごく良くて、自分をほめたいぐらい完璧なショットでした」

東と同スコアだった正規ラウンド18番は、18メートルものバーディーパットを沈め、7メートルを入れ返された。パットでダメなら、ショットで勝つ。ミレニアム世代のエース格は勝負強い。

接戦に勝つ力がある。54ホールでボギーなしの優勝は記録の残る90年以降、史上8人目。今季ツアーのパーセーブ率92・6901%、パーオンを逃してパーを拾うリカバリー率77・1739%は、ともに部門別ランク1位。現在ボギーなしは64ホール連続と伸び、次戦日本女子オープン第1日も続けば82ホール連続になり、申ジエの持つツアー記録81ホールを上回る。

手堅い20歳は古風でもある。験を担ぐ。今大会開幕前夜、昨夜はトンカツを食べた。逆に大会中は“手がない→手が出ない”から鶏料理を食べない。ホテルからコースに向かう車内では、浜崎あゆみのライブ映像を見る。両親がファンの歌姫は、世代的に“懐メロ”だが「新しいのも聴いたけど、どうしても“あゆ”で」と趣味が変わらない。

賞金女王が夢だ。ジュニア時代に不動裕理の6年連続戴冠を知って憧れた。賞金ランクは2403万2000円の6位。1位笹生とまだ約4000万円差もあるが、今季はまだ6戦。オフ中に「ルーキーでなったら、かっこいいですね」とつぶやいた言葉は、夢物語ではない。【加藤裕一】

◆古江彩佳(ふるえ・あやか)2000年(平12)5月27日、神戸市生まれ。ゴルフは4歳から。滝川二高2年の17年に全日本大学・高校選手権優勝、同年JGAナショナルチーム入り。昨春から六甲国際GCで研修生となり、昨年10月富士通レディースで史上7人目のアマチュア優勝を飾り、プロ転向。昨年のJLPGA敢闘賞。師匠は父芳浩さん。153センチ、54キロ。

<古江彩佳の使用クラブ>

▼1W=ブリヂストンスポーツ ツアーB XD-3(シャフト=フジクラ スピーダー569TR 長さ45・25インチ、硬さS、ロフト10・5度)

▼FW=同 ツアーB JGR(3W=15度、7W=21度)

▼UT=同 ツアーB JGR(4U=22度、5U=25度)

▼アイアン=同 ツアーB X-CB 6I~PW

▼ウエッジ=同 ツアーB XW-1(50、54、58度)

▼パター=オデッセイ ストロークラボTEN

▼ボール ツアーB XS