黄金世代の原英莉花(21=日本通運)が国内メジャー初優勝に王手をかけた。

同世代で首位の小祝さくら(22=ニトリ)と同組で、3打差を追ってスタートし、7バーディー、1ボギーで66の猛チャージ。通算12アンダーで2位小祝と4打差の首位に浮上した。

ゾーンだったのか。9番グリーン。原のバーディートライは12メートル、きつい下りのフックライン。大きく膨らませたファーストパットは、カップに吸い込まれた。

「初日に同じようなパットをオーバーして3パットしていた。タッチを合わせることを考えて、かなり深めにラインを読んだんですが…。流れが良かったからかな?」。自分でも意外な結果が、不思議そうだ。

66の怒濤(どとう)のチャージで、3打差つけられていた小祝を抜き去り、4打差をつけた。パットが入った。31のアウトは実に10パット。試合がなかった先週、パットのデータを測定し、ボールにバックスピンがかかる傾向が判明。「順回転がかかるように」とグリップをハンドダウン、肩でストロークさせる意識で修正した成果が出た。

師匠の言葉も大きい。尾崎将司のもとを訪れた際、自信なさげな自分を見て、一喝された。「オマエ、来週は(日本女子)オープンじゃないかよ!」。背筋が伸びた。アイアン(I)のシャフトももらった。手持ちのヘッドに差し、打つと「おい、今までで1番いいアイアンじゃないか」とお墨付きをもらった。

「私は弾道が低かったみたいですが、高くなって、ほめてくれた。高校からずっと見ていただいている師匠ですから」。数回の試し打ちで本番投入するのは、常識的に冒険。しかし、アイアンの距離が伸びたことで、5番Iで代用できるユーティリティーを1本抜き、3番ウッドを投入できた。コース攻略の幅が増えた。何より精神的な支えが加わった。

最終日を首位で迎えるのは17年今大会のプロ転向以来、ツアー出場69戦目で初めて。初優勝した昨年6月リゾートトラストレディースは2打差3位から逆転した。4打リードは大きなアドバンテージだが、追われる立場の怖さは知らない。「初めてなんでどうなんでしょう。4打差あっても何が起きるかわからない。上に立っていると思わず、どんどん攻めて、もっと差を広げたい」。黄金世代きっての飛ばし屋が、未知の領域に挑む。