妊娠7カ月の横峯さくら(34=エプソン)が、約3カ月ぶりにツアー出場を果たした。キャディーを務めた夫の森川陽太郎さんと“3人”でラウンド。おなかが膨らんだシルエットこそ変わったが、随所で正確なショットやパットを披露した。3バーディー、5ボギー、1ダブルボギーの76、4オーバーで74位。7アンダーで首位の藤田さいき、ペ・ソンウとは11打差と出遅れたが、来年2月21日に男の子を出産予定の中で、新たな女子プロゴルファー像を示す形となった。

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ホールアウト後の柔和な表情が、充実感を物語っていた。横峯は4オーバーの76位。賞金女王に輝いた09年当時なら、いら立ちも覚えるような成績。それがこの日は「おなかが大きくても、ちゃんと成績を残せるというところを見せたかったですけど、ちょっと残念な結果になってしまいました。明日(第2ラウンド)頑張ります」と微笑んだ。

出だしの1番パー4で、ティーショットをフェアウエー真ん中に放った。ドライバー飛距離は20ヤードほど落ちたというが、腰を落としてきれいに弧を描いたスイング。8メートルのバーディーパットを30センチに寄せる、繊細なタッチも健在だった。

1バーディー、1ボギーのイーブンで迎えた7番パー4は、第2打を1メートルに寄せてバーディー。一時はアンダーパーで回ったが、後半に崩れた。17番ボギー、18番ダブルボギーの締めには「最後の2ホールでポカしました」と頭をかいた。「胎動を感じました。16番ぐらいから動き始めたので、起きたのかなという感じでした」と打ち明けた。

妊娠中の優勝は、99年ヨネックス・レディースで6カ月の野呂奈津子の例がある。7カ月の横峯が優勝すれば“新記録”だが「試合は全然違った」と、出遅れた事実は受け止めた。ただ「米ツアーに2015年から参戦して、おなかが大きくても普通に試合に出ている選手を見て『私もいつか』と思っていた」と、感慨深い様子。日本の女性アスリートの可能性を示す、大きな一歩となったのは間違いない。

◆妊娠中に出場した主な選手 99年8月のヨネックス・レディースでは妊娠6カ月だった野呂奈津子(当時33)が“妊婦V”を果たし、そのまま産休に入った。98年には92、95年賞金女王の塩谷育代(当時35)が妊娠中ながら5試合に出場(5戦最高16位タイ)。01年には93、94年賞金女王の平瀬真由美(当時31)がダイキンオーキッドレディースに妊娠6カ月で出場し、予選落ち。最近では13年に茂木宏美(当時36)が同年8月の妊娠発表後、同10月の日本女子オープンゴルフ選手権まで7試合に出場。最高成績は同8月下旬に出場したCATレディースの27位タイだった。