昨年、一昨年と2年連続賞金王で、日本時間16日まで米ジョージア州で行われたマスターズに出場した今平周吾(28=フリー)は、イーブンでホールアウトした。3バーディー、3ボギーの71。首位の重永亜斗夢と6打差の44位から、昨年に続く大会連覇を目指すことになった。

以前なら14日間の自主隔離期間中で、今大会への出場は不可能だった。だが今月12日、通称アスリートトラックと呼ばれる、東京オリンピック(五輪)強化指定選手の隔離緩和措置が発表され、日米の連戦が可能になった。

今平は17日に帰国し、18日の午前11時30分ごろに新横浜駅を出発して博多駅まで移動、さらに博多駅から手配したハイヤーで午後8時30分ごろに到着という。時差ぼけと移動の疲れ、コースでの調整なしで臨んだとあって「思ったよりも体が動かなくて、しんどかった。今までなかった、ティーショットが左に曲がるミスが出た」と、インコースの前半はバーディーなし、2ボギーと振るわなかった。だがアウトコースの後半は1、2番で連続バーディーを奪うなど、一時はアンダーパーで回るほど復調。強行日程だったが「自分自身が出たかったので。ディフェンディングチャンピオンなので2連覇を目指したい」と、前向きに話した。

スタート直前に、男子ツアーを管轄する日本ゴルフツアー機構(JGTO)の青木功会長から「ハードなスケジュールだけど頑張れ」と激励された。強化指定選手ならではの特例を受けることになったが、柏木一了キャディーに「ここまでとは思っていなかった」と打ち明ける「超」がつくほどの厳戒態勢だった。

スポーツ庁によると、この日のアスリートトラック適用は、あらゆるアスリートの中で今平が初のケースとなった。帰国の際のPCR検査は「陰性」だったが、特例を認める以上、徹底した防疫措置が取られた。前夜とこの日の朝は、一人きりのコテージで運ばれてきた食事を取るなど、徹底して他人と接触しないことが求められた。

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▽今平のこの日

午前8時35分 スタート前の練習をするために会場入り。通常、前年大会優勝者が送迎される、メルセデスベンツの「チャンピオンカー」を自ら運転して入った。

午前9時30分 直前までパッティング練習を行った後、10番パー4のティーイングエリアに姿を見せる。同組の稲森佑貴、香妻陣一朗の同組2人と、それぞれのキャディーは離れて談笑。今平の柏木一了キャディーも、わずかに距離を取っており、一人ポツン。同35分から香妻、稲森に続きティーショットを放つ。今平の近くには警備員2人、JGTO職員1人、運営関係者1人の“専属スタッフ”計4人が同行。

午前10時15分ごろ 13番パー4で前の組のスタート前とあって、大きく待ち時間が発生。香妻が約4メートル先から話しかけ、初めて柏木キャディー以外の人と会話。その間、座っていたベンチ、手に触れた大型プラスチック製飲料入れには除菌スプレーを大量噴射。

午前11時40分ごろ インコースの前半終了。トイレに立ち寄る。後から来た稲森、香妻を先に通して立ち去った後、ようやくトイレへ。その間、前後左右を4人の“専属スタッフ”に囲まれる。トイレを出ると、運営関係者が即座に除菌スプレーを大量噴射。

午後2時10分 ホールアウト。同組の2人がテント内でスコアカード提出している間、外で記入、待機。2人が出た後にテントに入る。今平が提出したスコアカードには除菌スプレー。

午後2時30分ごろ リモート会見。今平の取材専用で設けられたプレハブ小屋で対応。約20分、質問に答えた後、再び「チャンピオンカー」を自ら運転してコテージに戻る。そこからは一切外出できないが「時間があるので、ゆっくりするとか、時間を有効に使いたい」と、笑顔を交えて話した。