金谷拓実(22=東北福祉大)がツアー史上初となる新人による2戦連続優勝へ、首位と2打差の3位に浮上した。7位で出て5バーディー、3ボギーの68で回り通算5アンダー、205。プロ転向後3戦目で優勝した11月のダンロップ・フェニックスの勢いを継続。逆転優勝なら、81年大会を制した羽川豊の23歳363日を39年ぶりに更新する、22歳197日(最終日時点)での大会最年少優勝となる。

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気温6度の厳しい寒さとは対照的に、金谷の内面は燃えていた。淡々とルーティンをこなすよう努める、普段の冷静なプレーから一転、終盤は珍しく感情を表に出した。14番パー4で3メートルのバーディーパットを決め「よしっ」と、右手でガッツポーズ。最もバーディーを取りやすい17番パー5では、第3打のアプローチをミスして寄せられず、右手に持ったクラブを地面にたたきつけようとして、踏みとどまった。それでも、この日7人だけのアンダーパーの一角に食い込んだ。

10番パー4では、ティーショットを左の崖下に落としながら「奇跡的なパー」でしのいだ。まさに、山あり谷あり。それでも「ショットも調子も悪かったけどショートゲームでカバーして、いいプレーができた」と常に前向きにとらえている。心の内では「自分には怒っている。『何で真っすぐ打てないんだ』とか」と、葛藤があることを明かした。それでも「次の状況でベストを尽くす」と、切り替えできるのが、プロ転向後の過去3戦全てトップ10という成績に反映している。

そんな金谷に、この日と前日の第2ラウンドを同組で回った石川遼も「特にメンタリティーがすばらしい」。崖下からでも、あきらめない精神力に加え、石川は「例えるならジョーダン・スピース」と語った。15年に21歳でマスターズと全米オープンを制するなどメジャー3勝を挙げ、世界ランキング1位となった“若き天才”のオールラウンダーと元アマチュア世界ランキング1位の金谷を重ねた。

前戦のプロ転向後3戦目の優勝は、松山英樹の2戦目に次いで速かった。コロナ禍でツアーが中止だった前週も、ツアー外の2日間競技ニトリ・エキシビションでプレーオフの末の2位と好調維持。73年のツアー制施行後、初となる新人の連勝と39年ぶりの大会最年少優勝に、日本の“若き天才”が堂々と挑む。【高田文太】