渋野日向子(22=サントリー)が、パー5全4ホールでバーディーを奪い、67をマークした。

1ラウンド(R)のロングホール完全制覇は2オン狙いからでなく、すべて3打目勝負。攻撃一辺倒から、コースマネジメント重視のスタイルへ。青木翔コーチから“卒業”したニューしぶこが通算6アンダー、首位と4打差5位のV戦線で折り返した。森田遥(24)がベストスコアタイ66をマーク、西郷真央(19)と並ぶ通算10アンダーで首位に浮上した。

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前半11番パー5のフェアウエーの第2打地点で、渋野が迷わずアイアンを握った。グリーンまで248ヤード。2オン不可能で、当然の選択だ。ただし適当ではない。「残り75ヤードを残したい」と、ピンまで残り74ヤード地点に運んだ。57度のウエッジでピン奥1・2メートルにつけ、バーディーを奪った。残り3つのパー5も同様にスコアを伸ばした。

「全部なんて久しぶりなんで。多分、明日は(ご飯の食べ過ぎで)2キロぐらい太ってくると思います」。19年11月TOTOジャパンクラシック最終R以来約1年4カ月ぶりの“快挙”にしぶこ節が飛び出した。

パー5の3打目勝負。かつての渋野にその意識は薄かった。グリーン手前に池やバンカーが効いていても「届くのに狙わないという選択肢は、ないです」-。超攻撃こそ信条だった。

意識は、昨年6月からの米ツアー遠征6戦で変わった。「明らかにパー5のバーディー確率が悪かった。マネジメントの必要性を痛感した」。昨年の国内6戦のデータでパー5の平均スコア4・75は部門別ランク9位相当。それでも物足りない。より高い確率でバーディーを奪う方法は-。考えた末の結論が100ヤード以内のゲームの充実だった。

青木コーチから卒業し、いろいろなプロに助言を仰ぐ中、石川遼に「ウエッジを増やす方法もあるよ」と聞いた。バッグから4番ユーティリティー、ピッチングウエッジを抜き、ウエッジを2本から4本にした。従来は51度と57度だけで51度で距離を打ち分けてきたが、46度が105ヤード、51度が95ヤード、54度が85ヤード、57度が75ヤードとしてクラブに“仕事”をさせるスタイルへ。オフの練習もショートゲームを軸にこなした。

18年のプロテスト合格前から師事した青木コーチの下で攻撃ゴルフを磨き、19年にメジャー優勝で大ブレーク。昨年はスランプも経験し、同コーチからも卒業した。「今までのいい部分はあるけど、そこにプラスしていかないと。変化することにネガティブな感情はないです。むしろ楽しいです」。プロ4年目。新たなスタイルを模索し、優勝争いに挑む。【加藤裕一】

◆パー5ホールVTR 11番 フェアウエー(FW)から第2打をピンまで残り74ヤード地点に運び、57度のウエッジでピン奥1・2メートルにつけた。

18番 FWからの第2打をピンまで75ヤード地点に運び、57度で右奥1・5メートルにつけた。

4番 右FWバンカーからの第2打を残り108ヤード地点に運び、逆風を計算して9番アイアンで右上1・5メートルへ。

7番 FWからの第2打を残り93ヤード地点へ。打ち上げの第3打は46度で93ヤードを右前2・5メートルへ。

バーディーパットは4ホールともワンピン(2・5メートル)以内。文句なしのチャンスを作り、ものにした。

◆渋野の1R全パー5バーディー以上 昨年11月22日の大王製紙エリエールレディース最終Rでも達成したが、同大会はパー71でパー5は3ホールだけ。1R4ホールは19年11月10日のTOTOジャパンクラシック最終R以来約1年4カ月ぶり5度目。国内ツアーでは他に同年4月20日のKKT杯バンテリンレディース第2R(うち1イーグル)、同年6月7日のヨネックスレディース第1R、同年8月16日のNEC軽井沢72第1Rがある。

▽1年4カ月ぶりのツアー出場が通算11オーバーで102位に終わった諸見里 実際に回ってみると悔しい気持ちが強い。距離のジャッジができず、試合の難しさを感じた。試合に出るのは甘いことじゃない。

▽4つ伸ばして通算9アンダーで3位の田辺 ショットを落ち着いて打てて、フェアウエーに置けているのがよかった。優勝したい気持ちが強いので、100ヤード以内を強化してきた。