最終18番を2パットのパーでまとめると、渋野日向子はホッとした笑みを見せた。「天気予報を見て、今日は(競技が)できないんじゃないかと思っていたので、完走できたのがうれしい。かなりの雨でプレーできたのは、貴重な経験になります」。首位との6打差を追う最終日、優勝への意識はほぼなかった。13位という結果も問題ではない。風雨に耐え、3バーディー、4ボギーの73と、ゴルフをしたことに意味があった。

プロ入り前から世話になった青木翔コーチから“卒業”し、1人で考える道を選んだ21年。石川遼の助言を生かした新たな試み。スイングの再現性を高めるためトップの位置を浅くし、フラットな軌道に変えたスタイルで初めて戦った。100ヤード以内の精度を高めようと、ウエッジを2本から4本に増やし、パー5のマネジメントにも注力した。「いいところも、悪いところも全部出た。試行錯誤していきます」。今はただ、プレーを重ねて経験値を上げることが重要だ。

約1年3カ月ぶりの有観客大会は「本当に楽しかったです」という。次戦の明治安田生命レディースから再び無観客が続くが「テレビ越しでも躍動感の伝わるプレーができれば」と気持ちを切り替えた。