男子ゴルフのメジャー、マスターズを開催する米ジョージア州のオーガスタ・ナショナルGC(パー72)で決勝ラウンドが行われた、オーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権で、兵庫・滝川二高の梶谷翼(17)が初優勝を飾った。今大会は19年に初開催され、同年に安田祐香と笹生優花が3位に入った。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催されず、日本人の優勝は初となった。

これを受けて滝川二高の角谷真吾監督が、日刊スポーツの取材に応じた。同監督は、朝目覚めると、携帯電話に着信履歴やLINEのメッセージが届いていたことで梶谷の優勝を知ったといい「まさか優勝するとは思いませんでした。ビックリです」と話した。

今大会は1日の予選ラウンドまでは、ジョージア州のチャンピオンズリトリートGCで行われた。その上位30人による決勝ラウンドに進出しなければ、世界屈指の名門コース、オーガスタ・ナショナルGCでプレーできない。それだけに、渡米前、角谷監督は梶谷から「絶対にあの舞台に行きます」と宣言され、今大会に懸ける思いの強さを感じていた。実際に5位で予選ラウンドを通過後は、LINEで「オーガスタ楽しんできます」というメッセージが届いたという。

同監督は、新型コロナウイルス感染拡大で大会が中止となった昨年を思い出しながら「去年行けるはずだったけど中止になり、さらに(今年3月の)全国高校ゴルフ選手権春季大会でも、個人優勝できずに2位で、かなりへこんでいた」と明かした。それでも今月から3年となり、新チームでは主将も務めている梶谷を「だいぶキャプテンらしくなってきた」と、悔しさをバネにして前を向く姿勢が、今大会の優勝につながったと評価した。

今大会の優勝で、6月の全米女子オープン(米カリフォルニア州)、8月のAIG全英女子オープン(スコットランド)という、メジャー2大会の出場権を獲得した。国内ツアーにはアマチュアとして12試合に出場し、3試合で予選通過。19年日本女子オープンでは9位となり、ローアマも獲得した。角谷監督は「まだまだアマチュアですから」と言うものの、すでにプロツアーで上位進出の経験もあり、海外での強さは証明済みだけに、期待も高まる。

帰国後は新型コロナウイルス感染症対策で、2週間の自主隔離期間が必要なため、関係者や報道陣が空港で迎える“凱旋(がいせん)帰国”とはならない。今大会はまだ開催2度と歴史こそないが、翌週のマスターズと合わせて、オーガスタ・ナショナルGCで行われるゴルフの祭典として、末永くファンに愛される可能性は十分。そんな大会を制し、次世代のスターとして注目を集めるのは必至だ。