日本人で唯一出場の松山英樹(29=LEXUS)が、2日連続のイーグルで盛り返し、6位で予選を通過した。今大会で自己最高の2位から出て、1イーグル、2バーディー、3ボギーの71で回り、通算4アンダー、140。順位こそ下げたが、通算7アンダーで首位のジャスティン・ローズ(英国)とは3打差と、第1ラウンドよりも1打縮めた。「ラッキー」というイーグルで流れを好転させ、上昇ムードで決勝ラウンドに臨む。

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普段は冷静な松山も、笑顔を見せずにはいられなかった。グリーンからこぼれた、ピンまで14ヤードからの13番パー5の第3打だった。パターで放った一打は、傾斜を上って一直線にカップに沈んだ。わき起こった観衆からの大きな歓声と拍手に、ややぎこちなく右手を挙げて応じた。それもそのはず。「ラッキーです。ちょっとスピードが強かったので、入るとは思っていなかった」と、自身も予想外だった。驚いた表情でカップからボールを拾い上げた後、満面の笑みを見せた。

流れは悪かった。2番パー5で、パットがわずか10センチ届かずバーディーを逃すと、9番パー4で5メートルを沈めるまで、バーディーパットは決まらなかった。後半に入って仕切り直したかった10番では2つ目のボギーで、表情を曇らせていた。それが2日連続のイーグル奪取で一転。その後は落ち込んだ顔を見せず、18番パー4で2メートルのパーパットを決めてピンチをしのぐと、右手でガッツポーズ締め。第3ラウンドへ「いいプレーができればチャンスはある」と、日本人男子のメジャー初優勝を見据えた。

もちろん課題も感じているからこそ、ラウンド後にみっちり練習するルーティンはやめない。わずかに外した2番のバーディーパットも「昨日なら入っていたというミス。その違いを最後まで合わせることができなかった」と分析。第1ラウンドは乾いて速かったグリーンが、湿気が増したこの日は、ボールが止まりやすくなっていた。わずかな変化に順応できず、首位との差は詰めたが、混戦にのみ込まれる形となった。

ただフェアウエーキープ率は78・57%、パーオン率は77・78%と高水準で、持ち味のショットは健在だ。「とてもいい位置。明日、いい位置で終われるように頑張りたい」。最終日に追い上げ、逆転した経験は豊富。第3ラウンドを逆転優勝へのカギに挙げていた。