稲見萌寧(21=都築電気)が、小祝さくら(22)との21年2勝同士の“最強対決”の末に2週連続優勝を飾った。

日没サスペンデッドになった第2ラウンド(R)の残りと決勝Rを実施。4人が並んだ首位から出て70で回り、通算5アンダーの211。小祝とのプレーオフ(PO)に入り、2ホール目にバーディーで決めた。昨年と統合された今シーズン4勝目、ツアー通算5勝目、21年に限れば6戦3勝。POは国内女子ツアー史上最高タイの3戦全勝。99年度生まれの“はざま世代”の星が輝いた。

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稲見が右手を天に突き上げた。プレーオフ2ホール目の18番グリーン。上り8メートルのバーディーパット。「これを決めないと(3ホール目に)持ち越しになる」。疲れた体から、最後の気力、体力を総動員させ、スライスラインを放り込んだ。プレーオフは3戦全勝。鬼の勝負強さを見せた。

くたくただった。大会スタッフのコロナ陽性判明で第1日は日没順延。28ホールを回った第2日は日没寸前で第2ラウンドを完了できたものの「疲れはピークを越えてました」と笑う。

今年が、初のツアーフル参戦になる。プロ合格した18年は最終QTに進めず、19年は主催者推薦の大会で好成績を残し、出場を増やし、11戦目の初優勝でシードを得たが、20年はコロナ禍で、ツアー自体が開催14戦のみだった。21年は前週まで5戦で優勝2回、7位2回の大ブレーク。赤丸急上昇の台頭は「トップ10に入るだけでも、気力と体力をすごく使います。内容が濃すぎて」。うれしい悲鳴は本当に“悲鳴”なのだ。

それでも「誰もかなわないと思わせる力をつけたい」と大言壮語する。この日は一時、小祝に2、3打離されたが、終盤15番からの3連続バーディーで食らいつく。パーなら優勝の最終18番でボギーをたたき、もつれ込んだプレーオフも「そうは思いません。思うと気分が下がる」。気持ちで体を動かす強さがある。

賞金ランクは4位に浮上した。「常に上位にいて、勝ち続ける。そこを目標にして、結果、1位になれたら」が、稲見の描く賞金女王のシナリオ。象徴的なイメージは…。「不動さんです。目標(の1つ)が永久シードなので」。21年6戦3勝。黄金世代とミレニアム世代の間、はざま世代からのし上がった実力者が、不動裕理の偉業「年間10勝」をしのぐハイペースで、疾走する。【加藤裕一】

◆3戦全勝は最高タイ 国内女子ツアーでプレーオフ3戦3勝は過去最多。過去に谷福美(88年那須小川L、89年ダンロップL、90年ミズノオープン)がおり、稲見が2人目。

稲見萌寧の優勝クラブ ▼1W=キャロウェイ マーベリックサブゼロ(シャフト=USTマミヤ ジ・アッタス5、硬さS、ロフト10・5度)▼3W=ダンロップ スリクソンZX(15度)▼5W=同(18度)▼ユーティリティー=ブリヂストン TOUR B JGRハイブリッド(4U22度、5U26度)▼アイアン=5I~PW=テーラーメイド P770▼ウエッジ=タイトリスト ボーケイSM8 52-08F(52度)、同SM8 58-08M(58度)▼パター=テーラーメイド トラスTB1▼ボール=ブリヂストン TOUR B XS