元賞金王で53歳のベテラン谷口徹が通算10アンダーの首位で決勝ラウンド進出を決めた。

1打差3位からスタートし、6バーディー、1ボギーで2日連続の66をマーク。優勝すれば「53歳74日」で、尾崎将司の「55歳241日」(02年全日空オープン)杉原輝雄の「53歳178日」(90年大京オープン)に続く歴代3位のツアー年長優勝(記録の残る85年以降)となる。

アップダウンの激しいコースは、シニア世代にきつい。しかし、スコアが出れば疲れも減る。「山登りも今日はだいぶ楽でしたね。昨日で足腰が負荷に慣れてくれたかな」。口だけでなく体も軽い。11番パー4は、ドライバーショットで同組の秋吉翔太に30ヤード以上も置いていかれた。しかし、そこからプロの技を見せる。打ち上げ、残り160ヤードを7番アイアンをピン右前50センチへ。スーパーショットを見ていた報道陣の拍手に「こんなんですわ」と言わんばかりに両手を50センチほどに広げてアピール。どや顔のバーディー奪取だった。

シニアになっても、レギュラーにこだわる。飛距離を稼ぐためドロー中心だった球筋を、昨年からフェードに戻した。「フェードでもしっかり捕まえれば、強い球になる。左へのミスが消せるし、ゴルフが楽になりましたね」。リスクを減らし、精度を上げる。体力、距離の低下は技術でカバーする。

今大会は大阪の自宅から通勤可能な距離だが、コースまで30分弱の有馬温泉から通う。昔から契約している会員制旅館。「一時は解約しようと思ったんですけど、日本プロに勝って止めた。また結構、使うことになると思って」。50歳で迎えた18年日本プロで国内メジャー最年長優勝を飾り、翌年から5年間の複数年シードを得た。関西圏のツアー競技の“拠点”を残し、今もバリバリで戦う。

日本プロに続く、自身2つめの50代Vへ。残り2日。「通算20アンダーぐらいの雰囲気はありますね。1日で3つ、4つは伸ばしたい」と本気になってきた。