石川遼の弟でアマチュアの石川航(わたる、21=日体大4年)が今年のQT挑戦、プロ志望を表明した。この日、ツアー出場9戦目で通算1アンダーの53位となり、初の予選通過を決めて「今年のQTを受験するつもりです」と明言。兄の背中を追い、プロに身を投じる覚悟を口にした。

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石川航が決意を語った。

「先週、今週と推薦で出場させてもらって“やっぱりプロでやるのは楽しい。プロになりたい”と思いました。今年のQTは受けるつもりです」。

おそらく一生ついて回る“石川遼の弟”という肩書も気にしない。「嫌な部分は全くないです。兄ちゃんはずっと憧れです。僕がゴルフを続けてきたのも“兄ちゃんみたいになれたら、どんな気分なんだろう”と思ったからですし」。

思いは最近、現実的に変化した。「別に近づかなくてもいいかなと。ライバルじゃないけど、別の(ゴルフの)やり方で競い合えるようになれたら」。ぼんやりながら、プレーヤーとしての違いもイメージできる。「兄ちゃんはアイアン、ウエッジがうまく、バーディーがとれるゴルフを作る。僕はそうできなくても、拾って粘ってスコアを作れたらいい」と話した。

この日はツアー出場9戦目で待望の予選通過を決めた。予選通過圏外の1オーバー、78位から出た。出だし1番をボギーとしたが、その後はボギーなし。後半に3バーディーを奪って69。ツアー初の60台をマークし、1アンダー、53位に滑り込んだ。16年のツアー初挑戦から最下位近くをさまよった姿は、もうない。

偶然、兄も53位で初の同組ラウンドの可能性もあったが、1組違いで決勝ラウンドに入る。「優勝を意識して戦っていきたい。それには毎回予選通過できるようにならないとダメ。その意味でも、予選通過は良かったです」。兄より2センチ低い身長173センチ。体重は大学で10キロ増し、65キロに。“石川遼の弟”から「プロゴルファー石川航」を目指していく。【加藤裕一】

◆石川航(いしかわ・わたる)2000年(平12)2月23日、埼玉県松伏町生まれ。ゴルフは5歳から。埼玉屈指の進学校・浦和高から日体大に進学し、現在ゴルフ部主将。16年関東高校選手権優勝、17年日本ジュニア(15~17歳の部)9位、19年日本アマ15位。得意クラブは8番アイアン。173センチ、65キロ。

【4段階 1次突破でツアー出場権】

◆国内男子ツアーQT 国内でツアープロ資格を得るには日本ゴルフツアー機構のQT(クオリファイング・トーナメント)突破が必要。1、2、3次、最終の4段階で、今年は1次=8月末~10月初旬、2次=10月末~11月、3次と最終=12月に実施予定。安定したツアー出場権を得るには最終で上位に入る必要があるが、1次を突破すれば、ツアー出場権が得られる。

【兄は弟の初予選通過喜ぶ】

○…石川遼が弟の初予選通過を喜んだ。自分が1アンダーでホールアウト後、弟が同スコアで終盤に入ったと知り「(翌日の)同組、ワンチャンありますかね」と声を弾ませた。第3日は弟に負けられない。「最終日に(成績のいい)アウトから回れるように頑張ります!」とおどけながら話した。

【山下美夢有の弟も】

▽ツアー初出場で31位、予選通過。前週の女子ツアーで初優勝した山下美夢有の弟でアマチュアの山下勝将 予選通過すれば、アマチュアなんで失うものはないですから。もっと攻めるところ攻めていきたい。トップ10を目指したいです。