アマチュアの笠原瑛(あきら、19=中部学院大2年)が首位と2打差4位発進した。

国内ツアーで珍しいレフティーが、163センチと小柄ながら300ヤード級のビッグショットで6バーディー、2ボギーの66をマーク。4年ぶり2度目の国内ツアー出場でV争いに名乗りを上げた。

国内ツアーの名物コース和合で、小柄なアマチュアのレフティーが大暴れだ。身長163センチの笠原は「ちょっと出来すぎかなと思います」という。ツアー初出場は17年ライザップKBCオーガスタで、カットラインに13打も及ばず133位で予選落ちしたが、2度目の今回は4アンダー、66で4位スタート。「あの時は緊張したけど、今回は反省を生かして…。キャディーが弟で身内なんで」。自分の母校瀬戸内高3年の慶太君を伴い、笑顔で回った。

前半4番パー3で8番アイアンのティーショットを1メートルにつけたのを皮切りに9、11、12、14、18番で6バーディーを量産した。距離は短いが、グリーンが硬く、小さく、多くのプロが攻め方に悩む和合をシンプルに攻めた。パー3以外の14ホール中11ホールで第1打は、300ヤード級の距離を誇るドライバーショット。怖いもの知らずの19歳がパワーゴルフを見せつけた。

ゴルフ界で圧倒的少数派のレフティーは、父宏さんに作られた。生粋の右利きだが「利き手で引っ張れるように」と5歳から左用クラブを使った。左用打席が左右両端に多い一般の練習場では、なるべく右端を選んで練習した。大学を決めるときはプロを意識して現在ツアー競技のない広島から、中部エリアへ。今回は中部プロアマ2位で出場権を得た。

第1日が荒天で中止となり、72ホールから54ホールの短縮競技となった大会で、4位発進は夢がふくらむ。「目標は予選通過でしたけど…。優勝とは言いませんが、いけるとこまでいきたいです」。残り2日の短期決戦を、無名の小さなレフティーが突き進む。【加藤裕一】

◆レフティー 左打ち用クラブの販売数が右打ち用に比べて極端に少ないこともあり、圧倒的少数派だ。海外ではメジャー5勝のフィル・ミケルソン、マスターズ2勝のバッバ・ワトソン、マスターズ1勝のマイク・ウィアーらが有名だが、国内ツアーでの日本人優勝者は羽川豊だけで、最後の優勝は91年3月のダイドー静岡オープン。仮に笠原が優勝すれば、レフティーでは30年ぶりになる。

◆笠原瑛(かさはら・あきら)2001年(平13)6月27日、広島県熊野町生まれ。ゴルフは5歳から。瀬戸内高-中部学院大。16年中国ジュニア(12-14歳)優勝、日本ジュニア(同)25位。19年日本アマ40位。163センチ、72キロ。好きなプロはバッバ・ワトソン。家族は両親、姉、弟。