「○○世代」だけじゃない! ツアー通算5勝、33歳の笠りつ子(京セラ)が堂々の首位発進だ。7バーディー、1ボギーの66。16年大会でレクシー・トンプソン(米国)がマークした、コース記録に1打差と迫った。前週のパナソニック・オープンで1学年上、34歳の上田桃子が優勝したことに刺激を受けて躍進。コース関係者に暴言を浴びせた19年の問題で、ゴルフをやめようとも考えた。だが恩返しの思いの強さは、黄金世代などの若手の勢いを上回り、5年ぶりの優勝、さらに初の国内メジャー制覇も射程に入り始めた。

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ショットが面白いようにピンに絡んだ。前半、ともにパー4の11、12番で幸先よく連続バーディー。どちらも第2打を2メートル足らずにつけた。精度は高まり、ともにパー5の第3打で、18番は1メートル足らず、1番は50センチにつけて再び連続バーディー。勢いに乗って8番パー4では、8メートルのバーディーパットも決めた。「パーフェクトに近いプレーができた。ティーショットが良く、セカンド(ショット)も良く、パターも良く。全部でした」と胸を張った。

賞金ランキング3位で2勝した16年を最後に、優勝からは5年間も遠ざかっている。会見でそれを指摘されると「5年か…」と、かみしめた。その間に黄金世代、ミレニアム世代、新世紀世代、20歳前後の若手が次々と台頭した。だからこそ前週、同じ熊本出身で近い関係の上田が優勝したことは「自分も負けていられない」と勇気をもらえた。

昨年と統合された今季、19戦連続でトップ10入りがなかった。だが3週前の地元熊本でのKKT杯バンテリン・レディースで6位。復調のきっかけをつかみ、翌週は3位に入った。「良い結果を残すことで、皆さんが喜んでくれるならと思って今はやっている」。感謝の思いが原動力と語る。

きっかけは19年にツアー会場で、コース関係者に暴言を浴びせて厳重注意処分などを受けた問題だった。「それまでは自分のためにゴルフをしてきた。あのことがあって、1度はゴルフをやめようと思った。でも皆さんのために、もう1度(ゴルフを)やりたいと思った」。謹慎などで1度は優勝を遠ざけた問題が、ゴルフ上達へのきっかけとなっていた。【高田文太】

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