150センチの西村優菜(20=スターツ)が、国内メジャーのビッグタイトルを初めて手にした。

首位と3打差の2位で出て6バーディー、1ボギーの67。通算での大会新記録となる14アンダー、274でツアー2勝目を逆転で飾った。00年度生まれ「ミレニアム世代」では初の国内メジャー女王。ツアー初優勝の昨年11月、樋口久子・三菱電機レディースも、最終日に6打差を逆転している。2勝目も同じ展開で、“逆転の西村”を強烈に印象づけた。

   ◇   ◇   ◇

20センチのウイニングパットを決めると、西村は両手でガッツポーズをつくって、満面の笑みを浮かべた。00年度生まれ以降では初の国内メジャー制覇。同年代の古江らの祝福を受け、優勝インタビューでは開口一番「最終日に一番いいゴルフができたので、すごくうれしい」と、さらに笑顔がはじけた。ただ、母の日の優勝とあり、母枝里子さん(45)への思いを問われ表情が一変。「この日に勝てたのがすごくうれしいです」と涙した。笑って泣いて、大きなタイトルを手にした。

6番でアプローチをミスしてボギーとし、動いた。本来、最後に打つはずの7番のティーショットを最初に打った。6番のグリーン上で長考する高橋と大里に先立ち、7番のティーグラウンドに到着済み。6番での2人のプレーが終わるのを見届けてから、すぐに打った。第2打地点には走って移動。実はこのホールでプレー速度を早めるよう競技委員から催促されたのもあるが、プレーの速い自身のリズムに戻し、7番は5メートルのパットを決めてバーディー。「あのバウンスバックが大きかった」と、ガッツポーズも飛び出した。勢いに乗り、13番で逆転。初優勝時に続く“逆転の西村”健在を証明した。

初優勝時には賞金で「母に何かプレゼントします」と話していた。だがこの日は「全然できていない」と打ち明けつつ「2倍にします」と笑った。今大会を含め、ほとんどの大会に付き添い、ホテル予約から会場への送り迎えなど献身的なサポートをしてくれる母へ「感謝の気持ちをこうやって結果で恩返しできたのはすごくうれしい。本当にありがとうと伝えたい」と頭を下げた。

16年にレキシー・トンプソン(米国)がマークした茨城GC東コースでの、大会記録を1打抜く274で制した。150センチでの国内メジャー制覇は、11年日本女子オープン優勝の馬場ゆかりの149センチに次ぐ、2番目の低身長。この優勝で3年シードを手にし、海外ツアーに挑戦できる下地も整い「将来の目標は海外メジャーで優勝すること」。夢は大きくふくらんだ。

【高田文太】

◆西村優菜(にしむら・ゆな)2000年(平12)8月4日、大阪・堺市生まれ。5歳から競技を始め、17年にナショナルチーム入り。大阪・大商大高では18年日本女子アマ4位。アジア・パシフィック・アマチュア選手権は18年2位、19年5位。19年11月のプロテストに一発合格。昨年11月の樋口久子・三菱電機レディースでツアー初優勝。趣味は音楽鑑賞、スポーツ観戦。150センチ、50キロ。

<西村優菜の優勝クラブ>

▼1W=キャロウェイ エピックスピード(シャフト=フジクラ スピーダー569EVO3、硬さSR、長さ45・25インチ、ロフト角9度)▼FW=同 エピックスピード(3W15度、5W18度)グレートビッグバーサ(7W21度、9W24度)▼UT=同 エピックスター(6U)▼アイアン=同 Xフォージド(6I~PW)▼ウエッジ=同 JAWS(50、58度)▼パター=オデッセイ ホワイトホットOG#7S▼ボール=キャロウェイ クロムソフトX トリプルトラック