プロ4戦目の片岡尚之(23=フリー)が逆転でツアー初優勝を果たした。最終ホールまでめまぐるしく順位が入れ替わる大混戦の中で粘りのゴルフを見せ、首位に4打差の9位から4つ伸ばして通算15アンダー、273。選手会主催で初めて行われた新規大会の初代王者に輝いた。イケメンの新星は、男子ゴルフ界の盛り上げと、将来の米ツアー挑戦を目標に掲げた。

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大混戦の優勝争いの中で、勝利の女神が最後にほほ笑んだのは23歳の新星、片岡だった。最終組から4つ前の組で通算15アンダーでプレーを終えた。その時点で後続の石川、時松ら4人と首位で並んでいた。祈るしかない状況の中、難易度の高い18番でライバルたちが脱落。16番をバーディーとして首位に並んでいた最終組のベテラン宮本までもが18番をボギーとし、初優勝が転がり込んできた。

グリーン脇で見ていた片岡は「何を考えていいのかも分からなかった」と固まったまま。「信じられない。まさか勝てるとは思っていなかった」。首位で並んでいたライバル全員がボギー以下とした18番は、しっかりパーセーブしていた。グリーンの斜面にきられた難しいピンポジションに強い向かい風。プレーオフも見据え「頑張ってパーを取ろうと思った」。練習を積んでいた低い球で攻めた粘りが結果につながった。

壮大な夢もある。大学ゴルフ界の名門、東北福祉大出身。マスターズを制した松山英樹は学年で6つ先輩。在学中に松山が学校を訪れたこともあるが「緊張して話せなくて、練習場でも見るだけで終わってしまった」という。偉大な先輩の偉業達成は十分な刺激となっており「もっと実力がついてから、自分も海外に行ったり、メジャー大会に出場したいという気持ちはあります。松山さんに続けるように頑張りたい」と語った。

まだプロ4戦目。今大会はキャディーもつけず電動カートでクラブを運んだ。昨年のルール改正以降、セルフプレーでの優勝者は初。「まぐれと言われないように、これからも勝っていきたい。小さい頃からゴルフに全力を注がせてくれた両親にまずは報告したい」。母の日。最高の親孝行Vとなった。【松尾幸之介】

<片岡尚之アラカルト>

◆生まれ、サイズ 1997年(平9)12月28日、北海道出身。171センチ、67キロ。

◆ゴルフ歴 ゴルフ関係の仕事をしていた父誠之(せいし)さんの影響で2歳からゴルフを始める。「母は夕方まで仕事をして、練習場の送り迎え、栄養のあるご飯もつくってくれて、尽くしてくれていた」。母美架さんのサポートもあり、札幌光星高2年時には、北海道出身選手として初めて日本ジュニアで優勝。東北福祉大の1学年後輩だった金谷拓実とは高校時代にともにナショナルチームで戦った。

◆イケメン 今大会で優勝を争った宮本は「ゴルフ界イチのイケメンだと思っている」と絶賛。本人いわくサッカー元日本代表の内田篤人氏に似ているといわれたことも。