男子ゴルフツアーのダイヤモンド・カップ(5月13~16日、神奈川・相模原)で優勝した星野陸也(25=フリー)の強さの秘密は、苦手を楽しみに変える思考にある。今回、雨や強風、硬いグリーンなど、プロのゴルファーでも「苦手」という条件がそろっていた。しかし、星野はその「苦手」をよく考えてプレーする楽しみに変えて、悪コンディションを克服した。

この大会で星野が武器にしたのは低い弾道で飛ばすショット。「子どものころから大好きなタイガー・ウッズを見て、いろんな球筋をコントロールするショットを練習していた」という。学生時代もスピンをかけたり、球をこねるように打ったりと工夫をこらした。その中から生まれた低い弾道のショットで、他の選手が苦しむコースを克服し、独走優勝を果たした。

この大会から、ドライバーをダンロップのスリクソンZX7からZX5に変えたという。「低い球を打つために、スピン多めのクラブに変えたんです」と明かした。もちろん変えるにあたっては、重心位置や総重量などを試行錯誤を繰り返し「今週のコース対策でいける」との判断があった。

苦手を楽しさに変えるために、研究を重ね実戦に生かす。卓球台を買い込んだり、大リーグ大谷翔平のバットスイングを自分のスイングに生かすために研究したり。常にゴルフのことを考え続ける。そんな隠れた努力が実を結び、今年の2勝や賞金ランク首位への躍進につながった。12日に25歳になったばかりで、男子プロの中では若手の部類に入る星野だが、そのゴルフと向き合う姿勢は、もはやトッププロといっても不思議ではない。

今回の勝ち方を見れば、星野時代はもうそこまで来ていると思う。【桝田朗】