渋野日向子(22=サントリー)が海外ツアー自己ベストの64をマークした。予選最下位での通過で68位で出て、首位と6打差の16位に急浮上した。ショットがさえ、1イーグル、7バーディー、2ボギーと大爆発。通算4アンダーの209とし、一気に順位を上げた。強気の攻めも戻って、トップ10入りどころか優勝争いに絡む可能性も出てきた。モリヤ・ジュタヌガーン(タイ)と徐薇■(サンズイに陵のツクリ)(台湾)が通算10アンダーで首位。

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渋野の強気の攻めが戻ってきた。3アンダーと6つも伸ばして迎えた最終18番。260ヤードと前日より100ヤード以上短くなったパー4で、果敢にワンオンをねらった。左に大きな池があり、慎重になってもいい場面でのイーグル狙いだった。

「いくしかないなと思ったんで。とりあえず、今日頑張ったんで、池でもいいなと気楽に打ったら乗っていました」。ピンまで約8メートルのイーグルパットはわずかに外れたが、楽々バーディーで自己ベスト64の大爆発を締めくくった。

予選ラウンド(R)とは別人のように、この日はショットでチャンスをつくり、惜しい場面で外してきた2~4メートルのパットが決まった。スタート1番のボギーから、前半は2連続、3連続とバーディーラッシュ。後半15番パー5では、グリーン手前からのアプローチが直接カップインするイーグルで笑顔がはじけた。

海外ツアーでの64は、それまで最高だった初出場優勝のAIG全米女子オープン第1Rと、今年4月のロッテ選手権第3Rの66を上回り自己ベスト。予選最下位通過の68位から一気に52人抜きで、優勝争い圏内の16位まで浮上した。

「昨日までの自分とは全然違って、自分でもよく分からないなと思いながらやっていました。今日はセカンドショットが本当に良かったので、その後のショットが打ちやすかったり、狙いやすかったりした」と笑顔で振り返った。

東京五輪まであと2カ月。出場枠2つに対し、世界ランキングは26位で日本人3番手と、1つ上の古江や31位の稲見と残り1つの枠を巡り激しく競り合う。今大会でトップ10以内に食い込めば、再び2位に浮上する可能性もある。「3日目に全部出し切ってしまったので」と渋野は冗談めかして言ったが、この日の勢いが続けば、米ツアー2勝目も夢ではない。

◆渋野の猛チャージ 19年4月のKKT杯バンテリン・レディースで、初日81をたたき最下位106位から、第2日に1イーグル、6バーディー、2ボギーの66をマーク。50位に浮上して予選通過し、ツアー史上2番目の大カムバックとなった。19年9月のデサント東海クラシックでは、最終日に首位の申ジエと8打差20位からスタート。8バーディー、ノーボギーの64をマークし、史上2番目の大逆転優勝を達成。