全米女子オープンを19歳で制した笹生優花の勝因を、国内ツアー7勝を挙げ、自らも全米女子オープンに出場経験を持つ佐伯三貴氏(36)が分析した。

   ◇   ◇   ◇

ついにこんな日が来ました。誰もが勝ちたいとあこがれる全米女子オープンという世界最高の舞台で、日本人同士のプレーオフをやって、笹生さんが優勝した。畑岡さんも本当によく頑張ったと思います。できることなら2人にカップをあげたいです。笹生さんの優勝のポイントは、<1>頼れるキャディーの存在<2>決断力<3>バイリンガルの3点が挙げられると思います。

笹生さんのキャディーは、カナダ人のライオネル・マテチュックさん。日本の女子プロ小俣奈三香さんの夫で、日本や米国でキャディーを務め、私も全米挑戦のときにお願いした人です。彼は常にポジティブに前向きに選手を導いてくれる。笹生さんが前半の2番、3番で連続ダブルボギーをたたいたときも「大丈夫」「もう1回集中して」と私にかけてくれたのと同じ言葉をかけたと思います。

苦しいときに精神的に支えてくれる存在がいることは大きい。試合後、ライオネルさんと電話で話しましたが終盤の3ホールは彼も興奮したと言っていました。

笹生さんのいいところは決断力です。彼女のプレースタイルは、ぱっと決めてぱっとやる。決断が遅いと迷いが出るし、自信があったり調子がいいときは自然とプレーが早くなるものです。

笹生さんは日本語より英語を流ちょうに話します。フィリピンで育ち、海外でのプレー経験も豊富。だから米国に行っても物おじしない。日本にもそんな選手が出てきて、時代が変わってきたなと感じます。ドライバーのスイングはロリー・マキロイそっくり。彼女の強みのパッティングは打ち方がタイガー・ウッズのようです。アドレスから構えて打つまで頭が全然動かないんです。マキロイからは最終日前日に激励を受けたそうです。世界をお手本に技術を磨き、世界をつかみました。

私たちの時代はメジャーに出るだけで満足だったのが、今はそこで優勝争いして、勝つことが当たり前になっていると思います。19年全英女子オープン優勝の渋野さん、今年男子のマスターズを制した松山さん、そして今回の笹生さん。日本人のレベルは確実に高くなりました。

以前は、韓国人選手の活躍を私たちや世界が指をくわえて見ていた時期もありました。しかし、この1~2年で日本人ゴルファーがそういう目で世界に見られるようになったと感じます。宮里藍さんの時代ぐらいから世界と戦える選手がちょっとずつ出てきて、最初は針の穴ぐらいだった可能性がどんどん大きくなって、みんながメジャーに行けるようになった。笹生さんの偉業の前には道をつくった先輩たちがいます。

今は、日本にもすばらしい選手がたくさんいます。笹生さんの優勝を見て「私もできる」「私もやりたい」という選手がどんどん出てくるのが楽しみです。

<全米女子OP 笹生優花最終日プレー詳細はこちら>