笹生優花(19=ICTSI)が、東京オリンピック(五輪)の出場権を揺るぎないものにした。五輪出場者を決める世界ランキングは、前週まで40位だったが、全米女子オープン優勝で大幅に上昇することが確実。五輪は母フリッツイさんの母国フィリピン代表として出場の意向で、全60人、各国2人の出場枠から漏れる可能性は事実上なくなった。将来的には日本国籍取得を希望するが、日本同様、快挙に沸くフィリピン国旗を背負い、今夏は日本で世界一を目指す。

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日本とフィリピン、両国への感謝を口にすると、涙が止まらなくなった。ゴルフ同様、幼少期に1日3時間の猛勉強で身に付けた流ちょうな英語で「私を支えてくれたスポンサーの皆さん、フィリピンと日本のファンの皆さん、私はもっと上を目指してゴルフを頑張っていきます」と、笹生は涙をぬぐいながら誓った。父正和さんの母国日本と、母フリッツイさんの母国フィリピン。「どっちも大好き」と公言する。両国での経験、どちらが欠けてもメジャー制覇はなかった。

日本では、法務省が「重国籍者は、重国籍となった時が20歳未満であるときは22歳に達するまでに、重国籍となった時が20歳以上であるときはその時から2年以内に、いずれかの国籍を選択」と定義している。五輪は、いずれかの国の代表での出場が原則だ。

メジャー制覇で前週まで40位の世界ランキングは、大幅に上昇する。女子ゴルフの東京五輪代表は、6月28日付の世界ランキングに基づき、出場60人が決まる。各国上位2人に出場権が与えられるが、笹生はフィリピン代表として出場の意向。フィリピン人で同ランキング2番手のパグダンガナンは155位。五輪出場は確実だ。

笹生はアマチュア時代、個人、団体で2冠に輝いた18年アジア大会など、フィリピン代表として活動してきた。今大会もフィリピン選手として出場した。正和さんは「娘は何事も経験したいので、東京五輪はフィリピン代表で出て、いずれは日本国籍に」と代弁している。

フィリピンで土台を作り、日本でプロとして飛躍し、男女通じて21世紀生まれ初のメジャーチャンピオンになった。活躍ぶりは、世代や国境を超えている。

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