稲見萌寧(21=都築電気)が今季ツアー7勝目、21年出場14戦で6勝目に王手をかけた。

この日は6バーディーを奪い、3ラウンド(R)連続ボギーなしの66。通算16アンダーにスコアを伸ばし、スタート前の2位との差を2打から4打に広げた。記録の残る90年以降では、ツアー初の「4日間大会のノーボギーV」へ。優勝なら、賞金ランク1位に浮上し、東京五輪代表に大前進する。2位に西村優菜、木村彩子、青木瀬令奈、西郷真央が並んだ。

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危なげない稲見が揺らいだのは7番パー4(360ヤード)だけだ。第1打が左に飛び、ダイレクトに木を直撃。右手前に大きく跳ね返り、フェアウエーを横断、右セミラフに止まった。ホールは軽い右ドッグレッグで、グリーン右奥に切られたピン方向は、前方の木が邪魔で狙えない。普通なら9番アイアンぐらいの残り距離が210ヤードも残り、第2打は5番ウッド。球筋のフェードを生かし、前方の木の上をかすめるように放ったショットは、ピン左前7メートルについた。

「前の木が高かったんで、とにかく球を上げるように意識しました。結果? 完璧でした」。楽々の2パット・パーで切り抜け、6バーディー、ボギーなしの66につなげた。

雨が少し降った。風もそこそこ吹いた。大会アンバサダーでセッティング担当の宮里藍さんが「3日目以降は伸ばせるように」とムービング・サタデー用に切ったピン位置もあってか、出場71人中29人が60台という伸ばし合いだった。「私も結構頑張ってるのに、みんなすごく伸ばすな~」と、ラウンド中に清水重憲キャディーと話した。前半終了直後に一瞬、木村に首位を譲った。しかし、バックナインを32とし、2位と4打差の独走態勢を作った。

「そこをメインで考えていた」と、ボギーは第1Rから1つもない。72ホール競技の「ノーボギー優勝」となればツアー初の快挙となる。現在793万117円差で2位の賞金ランクも、優勝なら小祝を逆転して1位に浮上。現在2番手の東京五輪代表の座も、決定まで2週を残し、3番手古江を突き放す。

最も気になるのは、どれか?

「どれも気にしてないです。すべてできるのに越したことはないですが、明日で今年のすべてが、この世のすべてが終わるわけではないので。最終日は最終日。いつものように1つでもスコアを伸ばしたい」

過去ツアー7勝中4勝は首位タイか単独首位からの逃げ切り劇。最終日を首位で迎えてのV逸はない。V確率100%、4打差リードで迎える最終Rへ、稲見に揺らぎはない。【加藤裕一】

◆連続ノーボギー 国内女子ツアーの最長は申ジエの81ホール(15年meijiカップ~CATレディース)。稲見は前週リゾートトラストレディース最終Rの13番から6ホール、今大会第3R終了までの54ホールの合計60ホール、ボギーを打っていない。最終Rもボギーがなければ78ホールで歴代単独5位になる。

◆ノーボギー優勝 資料が残る90年以降、今月ヨネックス・レディースの笠りつ子、昨年9月デサント東海クラシックの古江彩佳ら10人(10例)。99年NEC軽井沢72の韓熙円は第2ラウンド中止で36ホール競技、その他は全て54ホール競技。