4月のマスターズを制した松山英樹(29=LEXUS)が男女を通じて日本人初のメジャー2勝目へ好発進した。3バーディー、1ボギーの69で回り、2アンダーで暫定5位。濃霧で開始が1時間半遅れて日没サスペンデッドとなり、36人が競技を終えられなかった。星野陸也は14ホールを終えてイーブンパー。浅地洋佑は76、石川遼は77と出遅れた。

    ◇    ◇    ◇

大勢のギャラリーをくぎ付けにした。イーブンで折り返して迎えた10番パー4で、松山は第2打を3メートルにつけてバーディー。続く11番パー3は、第2打で15メートルのロングパットをねじ込んだ。当初は同組の飛ばし屋で人気者のデシャンボー、昨年の全米アマ王者で将来性抜群のストラファシ(ともに米国)に注目の米国人ファンも、伸び悩む2人とは対照的な松山の連続バーディーに大歓声。「本当にいいプレーができた。パットが途中から良くなった」と、右手を挙げて応えた。

我慢の末に挑戦10度目でマスターズを制した松山にとって、難コースでの我慢比べは得意の展開だ。7番パー4では不運なボギー。グリーン手前から絶妙なアプローチは、チップインバーディーになりかけた。だがカップのふちをクルッと回り、大きく蹴られた。1・5メートル残ったパーパットを外した。第3打の軌道が数センチずれただけで、2打も損した格好だが崩れず我慢。最終18番は、50センチのパーパットを打つ直前にサスペンデッドを告げるホーンが鳴り、駆け込みでホールアウト。「最後は終われてよかった」と、不運を嘆くどころか幸運を感じて締めた。

メジャー王者となったことで随所に余裕があった。ティーショットで、自身より50ヤード以上も先に運ぶデシャンボーのプレーにも「PGA(全米プロ選手権)の時も一緒だったんで気にならない」と、惑わされなかった。さらに「ミスしても(その後も)自信を持って打てた」ときっぱり。マスターズの時と同様、ラウンド中には何度も笑顔を見せた。心身の充実ぶりに、早くも2度目のメジャー制覇の予感が漂い始めた。