渋野日向子(22=サントリー)が劇的に予選を通過し、東京五輪代表入りの可能性を残した。93位から出て1イーグル、2バーディー、2ボギーの70で回り、通算2オーバー、146で57位。上がり2ホールでバーディー、イーグルを奪って一気に3つ伸ばし、カットラインをギリギリ上回った。12番ではミラクルショットも飛び出すなど、コロナ禍で限定8000人ながら観衆を大いに沸かせた。

   ◇   ◇   ◇

後がない渋野は覚悟を決めた。「攻めるしかない」。16番をボギーとして5オーバー。最終的に予選通過となる2オーバーに、残り2ホールで3打も足りなかった。すると17番パー3はピンを果敢に攻め、1・5メートルにつけてバーディー。圧巻は18番パー5だった。

残り219ヤードからの第2打。「狙うしかない」と3番ウッドを握った。池越えの2オンに成功し、6メートルのイーグルパットを強気に打って決めた。「やっぱり最後まで諦めないっていうのを、今日はすごく感じれた。これからのゴルフ人生も、この2ホールで変わってくるかなと思う」。一気に3打縮めて生き残った。

良い流れに導いたのは、12番パー5のミラクルショットだった。第3打を池に入れ「悔しかったけどイライラしている暇もない」。残り88ヤードからの第5打。「何とかボギーで、と思って打ったら、すごい入り方をした」。バックスピンをかけたボールはピン奥から傾斜を下ってカップイン。同組の米通算20勝のカーから万歳で祝福された。価値あるパーと上がり2ホールは漫画のような展開。「しぶこ劇場」で観衆を沸かせた。

4月から3カ月の米遠征は、今大会が最後。次戦は隔離明けで、国内ツアーのGMO&サマンサ・カップ(7月16日開幕、茨城・イーグルポイントGC)にエントリーした。この間のメジャー3戦目で初の予選通過に「この3カ月の全てを(最後の)2ホールで出し尽くした感じ。明日があるのが、すごいうれしい。泣きそう」と笑った。逆転での東京五輪代表入りには、今大会で最低でも単独5位以上の成績が必要。まだ背中は遠いが、予感も漂う、劇的な予選通過となった。