女子ゴルフの東京五輪代表に畑岡奈紗と稲見萌寧が決定した。代表権をかけた最後の争い、代表2人への期待、五輪会場の3点と、菊地絵理香の4年ぶり優勝で盛り上がったアース・モンダミン・カップについて佐伯三貴氏(36)が解説する。

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五輪代表が決まる最後の1試合にはいろんなドラマがありました。今年初めて予選落ちした稲見さんは、前の週にあまりよくなかったのでどうかなと心配していましたが、最後の試合というプレッシャーもあったのでしょう。古江さんは、感情を出す子ではないのに、最終日のプレー後に涙を流していました。五輪へ向け「選ばれたい」という気持ちで最後までプレーしたと思います。渋野さんもキャディーがコロナの陽性になった第3日はドタバタでもったいなかったけど、最終日にしっかりスコア(67)を出して、1つの目標に全力で立ち向かう姿勢を見せてくれました。3人とも強い思いを感じました。

最後に代表に決まった稲見さんは、去年の今ごろは名前も挙がっていない選手でした。それが、高い目標設定による高いモチベーションがもたらした結果だと思います。その気持ちの強さと、何が起きても自分の意見を変えないところが魅力。ショットメーカーでパッティングもうまく、五輪でも大いに期待できます。

畑岡さんは日本のメジャーも勝っていて海外での実績も十分。小柄だけど飛ばし屋でショットの安定性も十分。2人どちらも強い気持ちを持って臨めば、金メダルも夢ではないと思います。

会場の霞ケ関CCは、私も日本ジュニアでプレーしたことがありますが、距離はなくてもいくらでもセッティングで難しくできるコースです。そこまでアップダウンはありませんが、フェアウエーバンカーのアゴが高く、入れてしまったら難しい。フェアウエーを狭くしたらどれだけでも難しくなります。それでも、会場は日本ですから、地の利を生かして戦って欲しいと思います。

アース・モンダミン・カップは菊地さんが優勝しました。もともとショットがうまくて、パッティングは昔から苦手なタイプでした。パットが入れば勝てただろうという試合がたくさんあったと思います。どちらかというとパッティングはあきらめています、みたいな感じもあったのですが、アースは別人でした。

32歳になり結婚して、いい意味で安心感を持てたのかなと思います。パターの苦手意識ではなくて、目の前の1打に集中していたと思います。あのコースで4日間でボギー2つは素晴らしい。最終日はだんなさんが上田さんのキャディーで、目の前で優勝できたとは良かったと思います。

2位の西郷さんも、いつ勝ってもおかしくない。最終日の追い上げも、見ていてすがすがしかったですし、輝いていました。国内ツアーは五輪で一区切り。賞金女王争い、シード権争いに向けて、どんな戦いが繰り広げられるか楽しみです。