国内女子ゴルフツアーのGMO&サマンサ・カップは、若林舞衣子(33=ヨネックス)が産休から復帰した選手としては約14年ぶりとなる優勝を果たし、幕を閉じた。若林は前週大会でプレーオフの末に敗れており、今回もプレーオフでの決着。19年4月に産んだ長男の龍之介君ら家族が見守る中での勝利は感動を呼んだ。

若林は前週大会の第3ラウンド1番から今大会最終ラウンドの13番まで85ホール連続ノーボギーの新記録(記録の残る90年以降)も達成。15年に申ジエが打ち立てた81ホールを約6年ぶりに塗り替えた。初日には63の大会タイ記録もマークするなど、多くの記録も絡んだ勝利。個人的に最も驚きを感じたのは、これまでに「ママさんV」を達成した選手の数だった。今回でまだたった6人目だという。若林以外の達成者は森口祐子、樋口久子、木村敏美、山岡明美、塩谷育代とそうそうたる顔ぶれがそろう。若林以前の「ママさんV」は木村が07年3月に挙げたアコーディア・レディースまでさかのぼる。それだけに今回の勝利の偉大さ、そして出産後にトップフォームを維持して勝つことの難しさもあらためて感じた。

若林はこうした選手らの仲間入りを果たしたことについて、優勝会見で「名だたる先輩たちの中に入れて光栄です」と語っていた。結婚しても、出産してもトップで戦うことができる。これが後輩たちに伝えたいメッセージだとも語り「だんだん世代が若返ってきて、私ぐらいの世代が諦めモードとか、そういう感じの空気は変えたいなというのはあった」と話した。

今年の女子ゴルフは序盤こそ20代前半の選手の優勝が目立っていたが、9戦目のパナソニック・レディースでの上田桃子の優勝を皮切りに、中堅以上の選手らの活躍も目立つようになった。その後に優勝を果たした笠りつ子や鈴木愛らは上田の優勝が刺激になったとはっきりと語っていた。ニチレイ・レディースを制した申ジエは日本ツアーのいいところに「ベテランから若手までの層が厚いこと」を挙げ「私も先輩として良い影響を与えられれば、これからもたくさんの良い選手が生まれると思う」と話していた。

国内ツアーで戦っていた笹生優花が全米女子オープンを制するなど、世界的にも活躍の波は広がっているように感じる。ベテランから若手までが互いに刺激を受けながら向上していく。今の日本女子ゴルフ界はとても良い状況にあるのではないだろうか。

今大会では、2月に長男を出産し、5月下旬に産休から復帰した横峯さくら(35=エプソン)も、復帰後3大会目で初の予選通過を果たした。若林の活躍については「私も、という刺激は受けていますね」と語っていた。今回の若林の優勝をまた刺激とし、多くの選手が次なる「ママさんV」達成者になることも期待していきたい。【松尾幸之介】