ミレニアム世代(00年度生まれ)の吉田優利(21=エプソン)がツアー初優勝を飾った。最終日は同じく未勝利だった黄金世代・高橋彩華、新世紀世代・西郷真央と同じ最終組で1打差2位からスタート。前半に3連続、後半に5連続バーディーを奪い、8バーディー、2ボギーの66で通算18アンダーで2位の高橋、比嘉真美子に3打差をつけた。ミレニアム世代のツアー優勝は通算4勝の古江彩佳、2勝の西村優菜に次いで3人目となった。

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吉田が怒濤(どとう)の5連続バーディーで、混戦から抜け出した。12番パー3は実測156ヤードを8番アイアン(I)でピン下2メートルへ。13番パー5は5メートルのチャンスを決めた。14番パー4は残り150ヤードを8Iで、15番パー4は残り99ヤードを58度のウエッジでいずれも3メートルにつけて沈めた。16番パー4は67ヤードをウエッジで1メートル弱へ。

「すごく不思議でした。パットのアドレスに入ると、すぐ(形に)収まって」。ショットは絡み、パットは入る。初優勝のプレッシャーをものともせず、後続をぶっちぎった。

00年度生まれのミレニアム世代。ジュニア時代、同じJGAのナショナルチームで戦った古江、西村が優勝するのを横目に力を蓄えた。最大の武器はパットだが、部門別スタッツで最重要視するのは「パーオン率」だ。19年のプロテスト合格後から師事する辻村明志コーチ、トレーナー、自分の3人で三角形のコミュニケーションを充実させて「自分のミート率、スイング軌道に合わせた体作り」を求めてきた。

究極の理想は「80%」という。ツアー記録が19年の稲見萌寧の78・21%。前週までの自分が64・83%の63位だから「本当に高い数字というのはわかっています。でも、得意のパットをより生かすために」とあえて“高すぎる目標”を置く。今週は54ホール中41度成功で75・93%。「パーオン率が気にならないぐらい、ショットが安定していた」と喜んだ。

同じ辻村門下の上田桃子、小祝さくらの存在も成長を後押しした。「おふたりとも真っ正面からゴルフに向き合っていて」。自分はジュニア時代から「効率重視」がモットーだった。「おしゃべりしながらの3時間より、集中しての1時間」-。だが、プロになり、使える時間が飛躍的に増えた。質も量もこなす2人を見て、効率も時間もこなすように考えが変わった。

表彰式にはJ1神戸の世界的スーパースター、イニエスタも登場し、楽天ポイント100万ポイントの目録を手渡された。「ビックリしました。こんな時に会えるなんて」とまともに口をきけず「オメデトウ」と言ってもらっただけと、笑った。

涙はなく、笑顔一色の初優勝は手にした。私生活では化粧品、美容グッズなどが大好きで、先輩の小祝に“指南”することもある“コスメ番長”だが、ゴルフは別。「いずれはアメリカ(米ツアー)に行きたいけど、まだそんな力はない。そこを目指して精進したい。泣けるようになるまで、もっと練習していきたいです」。泥にまみれて、2勝目、3勝目…。吉田が次のステージへ、歩いて行く。【加藤裕一】

◆吉田優利(よしだ・ゆうり)2000年(平12)4月17日、千葉県市川市生まれ。ゴルフは10歳から。16年後期からJGAナショナルチーム入りし、麗沢高3年の18年に日本女子アマ、日本ジュニアで優勝。19プロテストに12位で合格、最終QT20位で20-21年シーズンのツアー出場権を獲得。師匠は辻村明志。158センチ、58キロ。

◇吉田優利の優勝クラブ

▼1W=ブリヂストン ツアーB JGR(シャフト=フジクラ VENTUS黒、硬さ5S、長さ45インチ、ロフト9・5度)▼FW=テーラーメイド SIM2MAX(3W15度)▼ユーティリティー=ブリヂストン ツアーB JGR(3U19度、4U22度)▼アイアン=同 ツアーB 201CB(5I~PW)▼ウエッジ=同 バイティングレール・ミルド(48度)、同 ツアーB XW-F(52、58度)▼パター=オデッセイ オー・ワークス・ブラック2W▼ボール=ブリヂストン ツアーB X