20-21年シーズン初優勝へ、石川遼(29=CASIO)が首位と2打差3位に浮上した。ロングヒッターの星野陸也と飛距離で張り合いながら、8バーディー、2ボギーの66を出し、通算11アンダー。5打差17位からチャージをかけ、逆転V圏につけた。

最終18番パー5。左からのフォローを感じ、石川がドライバーを“満振り”した。左ラフに捕まった星野より、10ヤード以上前のフェアウエーへ。「330、340ヤードぐらい」というビッグドライブから、残り207ヤードをアイアンで2オンさせ、バーディーで締めた。

より手応えがあったのは13番パー5だ。「越えるには打ち上げを含めてキャリーで316ヤードが必要」な右バンカーの向こう側に、ドライバーショットを運んだ。「本当にギリギリ。318、319ヤードぐらいにボールがあったんで」と満足そうに話した。

谷原秀人が肋骨(ろっこつ)痛でスタート前に欠場し、同組は星野だけ。元は同じマネジメント事務所で5学年下ながら今季3勝、東京五輪代表にもなった。「特別な目で見てきた」という“弟分”に、ドライバー平均飛距離も18年まで負けていた。

予選2ラウンドはブレていたショットが、この日は上向いた。ドライバーに関しては「飛べばいいだけじゃなく、飛んで狙ったエリアに収まる」という理想に近づいた1日。8バーディー、2ボギーの66のビッグスコアも出た。その一因に、星野とのプレーがあったのは間違いない。

スイング改造に着手して、約1年半。現在も優勝という結果より、理想のショットを求める過程に重きを置く。「今日は何が起きるんだろうって、プラス面でもマイナス面でもすごく楽しみでした」。星野との“飛距離対決”には「僕が前に行ったのは2、3回だけど、まだまだです。大人げなく、そう思っています」と笑った。

首位と2打差で迎える最終日。優勝はしたいが、それより練習でできるスイングを求め、後はマネジメントを考えて-。やりたいことができれば、成長していく過程の中で、19年12月日本シリーズ以来の通算18勝目を射止められると思っている。

〈首位4打差で最終日の19年大会覇者で先週V比嘉〉できれば通算12アンダーまで行きたかった。上がり(16、17番)で落としたのは反省です。明日も上がり3ホールが勝負と思う。