ミレニアム世代の西村優菜(21=スターツ)が大逆転の20-21年シーズン3勝目を飾った。首位と5打差15位から、9バーディー、ボギーなしで大会コースレコードタイ&ツアー自己ベスト63の猛チャージ。通算10アンダー、134とした。通算3勝は全部逆転勝ち。現在ツアー最小兵150センチの“逆転の優菜”は賞金ランクも3位に浮上。残り10戦のツアー終盤戦でもでっかい存在となりそうだ。黄金世代の植竹希望は最終18番のダブルボギーで2打差2位、初優勝を逃した。

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西村の集中力がピークに達した。最終18番パー4。フェアウエーから残り110ヤードの第2打を、ピッチングウエッジでピン前1メートルに突き刺した。

「1番集中できたショット。好きな距離、好きなクラブでいいスイングができました」。

最終組の5組前。その時点で後続と1打差。2打差にすれば…。勝負どころで最高のショットを打ち、9個目のバーディーを奪い、優勝を引き寄せた。

「スタート前、優勝は遠い位置と思ってたんでビックリ。まさかです」と謙遜するが、通算3勝全部をまくって勝った“逆転の優菜”だ。原点は昨年9月日本女子プロ選手権にある。ツアー未勝利で、初めて首位で迎えた最終日に、76と崩れて7位に終わった。重圧に負けた。「1番大きなターニングポイント」と自覚する。「こんな弱い気持ちじゃ勝てない。こんなゴルフを変えないと」と思った。「最終日にスコアを伸ばす選手」を目指した。練習でも、本番でもあることを心がけるようにした。「ここからギアを入れよう」-。パットなどの決断を早め、悩みをかき消す訓練を課した。

初優勝は昨年11月三菱電機レディースで最終日にバックナイン31の65を出し、勝との6打差を逆転。2勝目は5月の国内メジャー・サロンパスカップで、バックナイン33の67を出し、高橋との3打差を逆転した。

この日もギアを入れた。スタート時の5打差が2打差になったとわかった7番パー4。「頭の中で車のエンジンを入れる感じ。集中力を高めるんです」。145ヤードの第2打を7番アイアンで2・5メートルにつけ、早速バーディーを奪取した。9番からは4連続で一気に首位へ。バックナイン30のすさまじさだった。

同じミレニアム世代の古江とシーズン3勝で並んだ。賞金ランクは今季獲得賞金約1億4083万円で古江を抜いて3位へ。「今年まだ10試合残っている。上位で戦って、優勝を目指したい」。できれば、4勝目は首位で最終日を迎えて逃げ切りVで。ツアー最小兵150センチ。小さなボディーに、破格のエンジンを詰め込んでツアーを疾走する。【加藤裕一】

◆西村優菜の優勝クラブ

▼1W=キャロウェイ エピックスピード(シャフト=フジクラ スピーダーNX、硬さSR、長さ45・25インチ、ロフト角9度)▼FW=同 エピックスピード(3W15度、5W18度)グレートビッグバーサ(7W21度、9W24度)▼UT=同 エピックスター(6U)▼アイアン=同 Xフォージド(6I~PW)▼ウエッジ=同 JAWS(50、58度)▼パター=オデッセイ ホワイトホットOG#7S▼ボール=キャロウェイ クロムソフトX トリプルトラック