世界アマチュアランク1位の中島啓太(21=日体大3年)が通算14アンダー、首位と1打差4位に浮上した。4打差8位から出て、1イーグル、6バーディー、1ボギーの65をマーク。優勝すれば、来春のマスターズ出場権を手にできるアジア・パシフィック選手権(11月3日開幕、UAE)に向け、パー3を除く全ホールでドライバーを握る戦略を貫いた。26日最終日は大学の1年先輩、河本力と史上5人目のアマチュア優勝をかけ、同組でプレーする。

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OBゾーンが幅を効かし、高低差もある。慎重なマネジメントが要求される城陽CCで、中島が“真逆”の攻めに徹する。パー4、5の第1打は全部ドライバーを握った。

打ち下ろし、右ドッグレッグの8番パー4(402ヤード)は、右ショートカットでグリーン手前まで運び、30ヤードのアプローチをピン1・2メートルにつけ、バーディーを奪った。356ヤードの14番パー4もピンまで残り110ヤード地点まで運び、52度のウエッジでチャンスを作ってバーディー。通常なら、間違いなく刻むホールでも力業を貫いた。

大会前、JGAナショナルチームのガレス・ジョーンズコーチと相談して決めた。「厳しい状況でドライバーショットを要求される場面が必ずあるから」-。11月アジア・パシフィック選手権で勝つために、来春のマスターズ出場権を勝ち取るために、自分に課した課題。そんな無謀な戦術で65を出し、首位と1打差で最終日を迎える。

史上5人目のアマチュア優勝へ。4月東建ホームメイト杯は1打差2位に終わり、悔し泣きした。ところが、今回は「全然違います。あの時は(相手が)金谷さんだったから(優勝を)意識してました。今は目標がずっと先にある。通過点というか」と迷わず言い切った。重圧はみじんもなく、同組で大学の先輩・河本と回れることが「すごくうれしい。日体大はみんな、仲がいいんです」と無邪気に笑った。

最終日もひたすらドライバーを握り、強引に攻める。やるべきドリルに集中し、勝利への執着がない。だからこそ、快挙を手にしてしまうかもしれない。【加藤裕一】