西村優菜(21=スターツ)が、第1ラウンドから首位を守る完全優勝で、2戦連続優勝を飾った。2位に5打差で出て、4バーディー、2ボギーの70。12年大会優勝の森田理香子がマークした14アンダーを1打上回る、通算15アンダー、201の大会新記録で、2位の浅井咲希を3打差で退けた。通算4勝目で、これまで3戦は全て最終日の逆転だったが、初の逃げ切り勝ちで万能ぶりを証明した。

ウイニングパットを決めた西村は、両手を2度突き上げた。4度目にして初めて、ギャラリーの前での優勝。コロナ禍の昨年からプロ生活をスタートさせ、ようやく大歓声の中で、トレードマークとなった満面の笑みを見せた。「プロとして戦えているんだなっていう喜びがすごくあった」。これまで3度の逆転優勝とは違う逃げ切りで、新たな喜びがあった。

2位に5打の大差で出たが徐々に後続に迫られた。伸ばしたい8番パー5をボギーとし、同組の原英莉花と2打差。「引きずると流れが悪くなる。自分の中で『よし、ここから』と思った。その後は無理やり笑顔をつくった」。続く9番パー4のピンチをパーでしのぎ、流れを変えた。後半では2つ伸ばす。ガムシャラに首位を追った3度の逆転優勝とは違う。どんな展開も勝てる自信を手にした。

同じ00年度生まれ「ミレニアム世代」の先頭を走っていた、古江彩佳に追いつく4勝目。5月のワールド・サロンパス・カップでは、世代最速で国内メジャーを制し“世代最強”の称号も手にした。そんな西村に今夏、夢ができた。24年パリオリンピック(五輪)出場。「(稲見)萌寧さんの銀メダルが刺激的だった。より出たい気持ちが増した」。実は東京五輪サッカー男子代表GK谷晃生は、堺市の原山台中で3年間同じクラス。「運動神経がいいので体育祭などではヒーロー」と、身近な存在が世界と戦う姿に感銘を受けた。視線は世界に向き始めている。

会場の宮城県の名物牛タンは大好物で毎日食べた。身長はツアー最小の150センチ。庶民派感覚で体格的にも、今季1億5000万円以上稼ぐアスリートと気付かれにくい。だが次戦の国内メジャー、日本女子オープン(30日開幕、栃木・烏山城CC)は、史上3人目の3戦連続優勝がかかる。日本一の称号を手に世界へまた1歩近づく。【高田文太】

◆西村優菜(にしむら・ゆな)2000年(平12)8月4日、堺市生まれ。5歳から競技を始める。大阪・大商大高では18年日本女子アマ4位。19年11月のプロテストに一発合格。昨年11月の樋口久子・三菱電機レディースでツアー初優勝。今年は6月の国内メジャー、ワールド・サロンパス・カップ、前週の住友生命レディース東海クラシックで優勝。通算4勝目。今季獲得賞金は1億5342万9556円。150センチ、50キロ。