約2年ぶりに日本での試合出場となった松山英樹(29=LEXUS)が、首位と1打差の2位と好発進した。今夏の東京五輪で金メダルのザンダー・シャウフェレ(米国)、銅メダルの藩政■(■は王ヘンに宗)(台湾)と同組で回り、6バーディー、ボギーなしの64。6アンダーでホアキン・ニーマン(チリ)と並んだ。7アンダーで首位の岩田寛を1打差追う展開となった。

出だしの1番パー4から盛大な拍手と大歓声で迎えられた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため「声援なしでお願いします」と、係員から呼びかけられても、観衆の興奮を抑えられないプレーを連発した。1番で第2打を3メートルにつけてバーディー発進。バーディーパットを決めると、ティーショットの際よりも大きな歓声が起きた。3番パー3では、ピン右4メートルにつけて2つ目のバーディーを奪った。6番パー5は第2打を4メートルにつけた。イーグルパットこそ、わずかにカップ右を通過したが、50センチの返しのパットを決めて楽々バーディーを重ねた。

9番パー4では、第2打をグリーン手前のバンカーに入れたが、芸術的なリカバリーショットを披露した。バンカーからの第3打は、あと1歩でチップインバーディーという、わずか5センチにつけた。大勢のギャラリーから悲鳴や「惜しい」の声が漏れた。2アンダーで折り返した同組のシャウフェレとの、レベルの高いプレーの応酬で、ファンを魅了するプレーを続けながら折り返した。

後半に入ると13番パー3、14番パー5で連続バーディーを奪った。13番は6メートル、14番は3メートルのパットを沈めた。17番パー4では、第2打がピンに当たり、カップまで1メートル足らずに落ちて6つ目のバーディー。最後までボギーなしで回りきった。

今大会の観衆は上限5000人で、この日は平日だったが4468人が駆けつけた。「たくさんギャラリーの方が来てくれて、いいプレーをしないといけないんだろうなと、プレッシャーみたいなものも感じたけど、それが逆にいい方向にいったかなと思う」と、緊張感が好プレーにつながったと感じていた。

前日20日には、現在の状態について「(優勝した4月の)マスターズを10としたら1もない状態」と、不調だと説明していた。この日のホールアウト後も「状態はそれほど変わっていない。(第2ラウンド以降)心配なのは心配ですけど、6アンダーというスコアで回れたので、そこはよかったなと思う」と話した。不調な中でも首位と1打差。今大会が初開催された2年前は2位というコースとの相性の良さ、何よりもファンの期待に応える勝負強さを示した。

「スタート(1番)が、おととしはバーディーだった。今年もバーディーを取れて、スタートできたということは、すごく余裕ができたんじゃないかなと思う。(1番は)ティーショットもそんなに悪くなかったけど、パットが先週も、先々週も全く入っていなかったので、ああいう距離が入ってくれたということが、一番救いだった」と、タイガー・ウッズ(米国)と優勝争いした2年前の雰囲気を、自らつくり出して築いた好発進だった。1番でバーディーを奪った後の大歓声も「うれしかったし『日本でやっているんだな』と、あらためて実感した」と、応援が後押ししてくれた、2年前の感覚をさらに思い出させた。

この日を総括して「いいプレーはできたんじゃないかなと思う」と、落ち着いた表情で話した。マスターズ以来、半年ぶりの米ツアー通算7勝目が、確実に近づいてきた。