石塚祥成(25=福岡雷山)がただ1人、アンダーパーの70を出して首位発進した。14番パー5のショットイン・イーグルに2バーディー、2ボギー。弟祥利(18)が昨年のPGA資格認定プロテストに合格、1度は諦めたプロ転向を再び模索し始めた日大出身の社会人4年生が優勝を狙う。谷本伊知郎(48=高松グランド)石口勝治(47=神有)古瀬幸一朗(18=香川西高)がパープレーの72で2打差2位につけた。

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グリーンに上がると、ボールがない。ピン前50センチに打球痕があり、カップの中にボールはあった。石塚が14番パー5(532ヤード)で決めたイーグル。「いい感じだったし“ついたかな”とは思ったけど」。ピンまで83ヤードを58度のウエッジで放り込み、パープレーから一気に2アンダーにした。

スタート前、ゆっくりとオーバー目の素振りを繰り返し、コースに出た。「調子が悪くて。そうなるとアイアンが飛んじゃう。打ちに行ってしまうんですよね。なのでハーフやスリークオーターでしっかり打つんじゃなく、ゆったりしたフルスイングで打つように」。出だし1番パー5でピン上3メートルからバーディーパットを2メートルもオーバー、何とかパーでしのぎ「無理せずパーを重ねよう」と決めた。スティンプメーターで11・5インチ。砲台で有名な上、高速に仕上がった片山津のグリーンを慎重に攻め、徐々に調子を上げた。

日大から企業ゴルフに理解の深い物流会社「センコー」(本社・大阪市)に就職して4年。「来年、プロに挑戦しようかと思っています」。今年の日本プロ選手権9位・勝俣陵、下部ツアーで戦う石原航輝、竹内大は大学の同級生。弟祥利もプロになり現在QTに挑戦中だ。「ずっとモヤモヤしてきました。僕は1度も挑戦しなかったから」と心中を明かした。

尻上がりで迎える最終日。「片山津はおもしろいです。第1打をミスったら、ピンを狙わせてくれない。一方でラフが極端に深くなく、グリーンの硬さもアプローチがやりやすい」。プロ転向を見据えるなら、ここで負けていられない。【加藤裕一】

◆石塚祥成(いしづか・よしなり)1995年(平7)11月30日、福岡市生まれ。ゴルフは11歳から。沖学園中、福岡第一高、日大を経て18年に物流総合企業「センコー」入社。ドライバー飛距離は280ヤード。170センチ、61キロ。理想とするアスリートは大谷翔平。

○…大院大卒の23歳、高野は73、首位と3打差5位につけた。片山津GCは19年大会でも回っており「2年前の方が風が強かったけど、普通に難しい」と話した。2ダブルボギーがあったが、9番パー5のイーグルなどでスコアをまとめた。首位石塚は会社の先輩。「まだ石塚さんに競技で勝ったことがない。明日はショットを小細工せず、しっかり振って、グリーンで難しいラインにつけないよう注意したい」と話した。

○…ミッド世代(25歳以上)のトップアマ谷本が上がり3ホールの2バーディーでイーブンパーにまとめた。香川在住で、男女の日本オープン開催実績を持つ片山津GC初挑戦。「北陸の名門。おもしろいですね。ここは飛ばすだけじゃ通用せんでしょう」。ジュニア、学生が幅を利かせるアマチュアの競技ゴルフで48歳になっても280ヤードの飛距離で立ち向かう。「昨日から練習で2ラウンドしたようなもん。明日は違う感じで回ります」と2打差逆転に意欲満々だ。

○…古瀬は6バーディーを奪いながら、パープレーにとどまった。前半4、7番でダブルボギー。「両方ともバンカーで“目玉”になって。それがなければ2、3打は違ったんじゃ…」。競技にたらればはないが、8番以降に限れば5バーディー、1ボギーの4アンダーだった。「調子がいいとまでは言えませんが、4オーバーまで行って、戻したわけですから、明日に相当つながると思っています」。18歳が最終日も攻めて、逆転を狙う。