プロ9年目の池村寛世(26=ディライトワークス)が5打差を逆転して悲願のツアー初勝利を挙げた。

2位から出て7バーディー、1ボギーの65で回り、通算17アンダー、267で同期の植竹勇太(27)を逆転した。2位には15アンダーで植竹、稲森佑貴(28)、香妻陣一朗(28)の3人が入った。

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サンデーバックナインで池村が爆発した。前半を1バーディー、1ボギーで折り返し、一時は首位と6打差を後半の6バーディーで一気に抜き去った。最終組の1つ前で上がり、優勝が決まると恋人でキャディーの坂口琴音さんに「長かったね」と声を掛けられ、その肩に顔を埋め号泣した。

「自分が優勝することが想像できなかった。もし優勝したときは多分泣くんだろうなと思っていたが、決まって涙があふれてきた」。優勝会見では晴れ晴れとした表彰で話した。

キャディーの坂口さんは2年前に初めてかついでもらって以来、下部ツアーなども含めこれで3勝目。調子が悪い時も練習場で遅くまで付き合い、常に励ましてもらった彼女に、ツアー初勝利で恩返しをした。

鹿児島の有名な焼酎「魔王」に使う「紅はるか」をつくるサツマイモ農家の長男。父親からは、ゴルフで稼げなければ実家を継げと言われている。プロ9年目、17年からは3年連続シード権をとりながらつかめなかった優勝をつかみ、プロでやっていく自信もつかんだ。ドライバーの不調を地面にボールを直接置いて打つ「直ドラ」で修正した飛ばし屋は「優勝して、てんぐにならないようやっていきたい」と自分に言い聞かせるように言った。【桝田朗】

◆池村寛世(いけむら・ともよ)1995年(平7)8月30日生まれ、鹿児島県出身。10歳で父の影響でゴルフを始め、鹿児島・尚志館高校1年だった11年に国体男子個人優勝。12年からオーストラリアへ留学し、帰国すると高校を中退しアジアンツアーのQTに挑戦。13年にツアープレーヤー転向。166センチ、72キロ。実家はサツマイモ農家。家族は両親と弟。

<池村寛世の優勝クラブ>

▼1W=テイラーメイド SIM2MAX(シャフト=フジクラ VENTUS  ロフト角9度、硬さX、長さ45・5インチ)▼2UT=テイラーメイド GAPR LO(17度)▼3U=テイラーメイド GAPR LO(19度)▼アイアン(4I~PW)=テイラーメイド P・7TW MILLED GRIND▼ウエッジ=タイトリスト ボーケイSM8(49度)▼ウエッジ=キャロウェイ JAWS フォージド(54度、59度)▼パター=キャロウェイ オデッセイ ホワイトホットOG▼ボール=テーラーメイド P5X