稲見萌寧(22=都築電気)が、2位に自己最大の9打差をつける圧勝で今季9勝目を挙げた。2位と1打差の首位から出て、7バーディー、ボギーなしの65。2日連続のベストスコアで通算17アンダー、199とした。

9打差以上の優勝は国内女子ツアー史上20例目で、3日間大会では15例目。22歳108日での通算10勝は宮里藍に次ぐ若さと、記録的な優勝となった。賞金ランキング1位の座も譲らず、同2位の古江彩佳とは約1697万円差に広がった。今季残り2戦で、次戦にも初の賞金女王に輝く可能性が出てきた。

   ◇   ◇   ◇

最後まで隙を見せず、異次元の強さで稲見が勝ちきった。最終18番パー4は、9メートルのパットを決めてバーディー締め。「すごくうまく打てて『これ入ったわ』と思った」と、カップに沈める前から両手を掲げた。6打差で勝った、5月の中京テレビ・ブリヂストン・レディースを上回る自己最大の9打差で圧勝。3日間大会での9打差以上の優勝は15例目という、記録的な大差は史上2番目の若さでの通算10勝目となった。「何よりも2ケタ優勝がうれしい」と、声を弾ませた。

2日連続ノーボギー&ベストスコアだった。5番パー5で、第3打を1メートルにピタリと寄せて最初のバーディー。同組で回っていた、この時点で2位の上田との差を2打に広げた。8番パー4で第2打を3メートルにつけて2つ目のバーディーを奪うと、上田がこのホールをボギーとし、一気に4打差。後半は5つバーディーを奪い、後続に影すら踏ませない独り旅だった。

3週前に棄権、2週前に欠場と、賞金女王争いの終盤に、2戦連続で賞金ゼロに見舞われた。要因は腰痛。この日も痛み止め薬を飲んでいたが、それでも快勝した理由を「パットが入ってくれた」と語った。1日10時間にも及ぶ“練習の虫”だが、実はパット練習は嫌いだという。転機は予選落ちした昨年の全英女子オープン。「ショットも良くなかったけど、パターでさらに苦しんだ。ショットが悪くなるのは仕方ないけど、もう少しパターを頑張ろう」。今大会は賞金女王を争う古江に、一時の約7248万円差から約397万円差まで迫られて迎えた。しかもショットに負荷がかかる腰痛まで抱えた。地道なパットの努力が、大きな1勝をもたらした。

今季獲得賞金は、1シーズンとしてはすでに歴代最高で、2億5256万6049円となった。今季残り2戦の優勝賞金は1800万円と3000万円。今大会と合わせて3連勝で締めれば、史上初のシーズン獲得賞金3億円を突破。それでも「目の前の目標を1つずつ。次は今季2ケタ優勝が目標」という。残り2戦で03年の不動裕理が打ち立てたシーズン10勝が次の照準。再び無類の強さで連勝し、次戦にも賞金女王の座に就くつもりだ。【高田文太】