黄金世代の原英莉花(22=日本通運)が21年のツアー初優勝に王手をかけた。

首位と3打差3位から出て66、通算14アンダーまでスコアを5つ伸ばし、後続に2打差をつけた。実質プロ1年目の19年から「3年連続優勝」となるツアー通算4勝目へ。ボールに印字した「venture」(冒険)の思いを胸に、最終日の逃げ切りを狙う。賞金ランク54位でシード維持を狙う柏原明日架(25)ツアー未勝利の三ケ島かな(25)が2打差2位にいる。

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序盤4ホールで3バーディー、5、7番で3パットのボギーを喫したが、9番から3連続、14番とバーディーラッシュだ。原は「このコースは私の距離でフェアウエーに置こうと思うとタイトになる(目標が狭くなる)ところが多い。だから、今週はOBしない程度に“振り切る”です」と言う。今季ツアー1位のドライバー平均飛距離257・23ヤードを生かし、攻める。

今大会直前の16日、松山入りの航空便を変更し、師匠・尾崎将司宅を訪問。「もっと振り切れ!」としかられ、引き締まった心をコースにぶつけている。

尾崎がよく使う言葉に「3つのV」がある。VISION=展望、洞察力。VITALITY=活力。そしてVENTURE=冒険。原はボールに戒め、目標の言葉を印字する。19年は「my way」。20年は「get the chance」。今年は「3つのVで私に1番足りないもの」として「venture」と刻んだ。

「1年に1勝以上。それを続けたい。残り2戦で絶対に1つ勝ちたい」。19年にツアー初V。昨年は日本女子オープン、LPGAツアー選手権リコー杯と国内メジャー2冠を成した。今年は出場28戦で0勝。3年連続優勝へ、正念場だ。「今年は自分に自信、確信が持てないというか…。何か不安を抱えながらここまで来ました」。迷いを断ち、攻める。師匠のハッパを胸に、最終日も冒険だ。【加藤裕一】