01年度生まれ「新世紀世代」の山下美夢有(20=加賀電子)が、4日間首位を譲らない完全優勝で、国内メジャー初Vを飾った。2位に6打差から出て、3バーディー、2ボギーの71と1つ伸ばし、通算12アンダー、276。2位青木瀬令奈に3打差をつけて逃げ切った。通算2勝目は、今大会が国内メジャーに昇格した08年以降、初の完全優勝。20歳278日での国内4大大会完全優勝は、05年日本女子オープンを20歳105日で制した宮里藍に次ぐ2番目の年少記録となった。

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優勝スコアの提出に向かう山下美夢有(20)は、大泣きする母有貴さん(46)を見つけて握手した。優勝インタビューでは「ママ、いつもありがとう」と泣いた。母の誕生日の第1日に大会コースレコード、母の日の最終日に優勝を贈った。父、弟、妹もいた。山下家の温かさがあった。

昨年2月、兵庫・宝塚GCで山下を取材した。帰り際「駅まで送ります」と駅まで車に乗せてくれ「あ、これこれ」と手土産にお菓子を渡された。「こっちが取材させてもらったのに…」と言っても「いいんです」と譲らなかった。

今年1月、山下の実家近くの寝屋川・星田ゴルフセンターで取材した。お返ししようと、デパートで買ったスイーツを持っていった。「え~、めっちゃおいしそうですやん!」と喜んでくれた。借り? は返せたと思った時だ。

女性が階段を上ってきた。山下に「母です」と紹介された。「いつも娘がお世話になっております」と頭を下げる有貴さんに「いえ、こちらこそです」と言うやズイッと紙袋を出してきた。お菓子だ。横にいた娘に「あんた、忘れたやろ」と言わんばかりに。

こちらが頼んで取材しているのに、気を使う。大阪のおかんと娘というか。どうしたって応援したくなるのだ。【加藤裕一】

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