西村優菜(21=スターツ)が、大会コースレコードとなる17アンダーで今季初勝利を挙げた。

6バーディー、ボギーなしの66で通算199とし、ツアー通算5勝目。一時は2打差の2位まで後退したが、森田遥を残り4ホールでの3バーディーで抜き去った。3日間大会でのノーボギー優勝は11人目。14アンダーで森田が2位。稲見萌寧と山下美夢有が12アンダーで3位に入った。

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14番のガッツポーズが反撃ののろしだった。1打差を追う展開で迎えた3メートルのパーパット。外せば優勝が厳しくなる状況で、西村は冷静に決めきった。その勢いで続く15番では7メートルのバーディーパットを沈めた。ボギーを打った森田と入れ替わって残り3ホールで首位に浮上。それでも気を緩めず、17、18番と連続バーディーを奪い、完勝した。

今季13試合目での初勝利。4勝目を挙げた昨年9月のミヤギテレビ杯ダンロップ女子以来9カ月ぶりの優勝に「すごくうれしかった。(4勝目からは)長く感じちゃいました。焦りもあった」と打ち明けた。

今季は、特に優勝のチャンスがありながら逃すことがたびたびあった。「バンテリン(4月15~17日)の時にプレーオフで負けて、調子が悪くないのに勝てないと悩んだ」という。そんな時に母枝里子さんにグチを言い、逆に「悪くないんだから」と励まされた。昨年5月9日の母の日にワールド・サロンパス・カップで優勝したが、この日はその母が会場に駆けつけていた。「(初めて)母の目の前で優勝したい。バックナインに入ったときから絶対勝ちたいと思いながらラウンドした」と喜んだ。

同じように父への思いもあった。昨年のこの大会も最終日が父の日で60位に終わり「父の日は何もないんか」と冗談まじりに言われた。「ほとんど見に来ないけど、いい報告ができる」。自身初めてのノーボギーでの優勝。しかも3日間大会では記録が残る90年以降11人目の優勝に「いつもボギー打ち過ぎと父に怒られているので、ノーボギーだったことを自慢したい」と笑った。

今回の優勝で、現在49位の世界ランキングの順位が上がりそうだ。6月末までに50位以内にいれば、米女子ツアーのメジャー、エビアン選手権(7月21~24日)と全英女子オープン(8月4~7日)への出場が可能となる。

「自分の中で全英に行きたい気持ちで米国から帰って取り組んでいる。いいイメージで次につなげられるように頑張りたい」と、新たな目標を口にした。【桝田朗】

◆西村優菜(にしむら・ゆな)2000年(平12)8月4日、大阪・堺市生まれ。5歳から競技を始める。大阪・大商大高では18年日本女子アマ4位。19年11月のプロテストに一発合格。20年11月の樋口久子・三菱電機レディースでツアー初優勝。昨季獲得賞金は1億7525万7855円(5位)。趣味は音楽鑑賞。150センチ、50キロ。血液型O。