【ガレーン(英国)=近藤由美子】メジャー初出場で新世紀世代の山下美夢有(21=加賀電子)が通算5アンダーの137で首位と3打差5位、日本勢12人の最上位で決勝ラウンド進出を決めた。2アンダーの10位から、5番パー5でイーグルを奪うなど68をマーク。国内ツアー最小兵の150センチでいて、今季18戦で2勝含むトップ5が10戦もある“最小最強女子”が躍動した。19年大会覇者の渋野日向子(23)は4打差7位、畑岡奈紗(23)堀琴音(26)は6打差17位で予選通過した。

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圧巻のイーグルは、5番パー5で飛び出した。第2打は残り約260ヤード。山下は背中でフォローの風を感じ、5番ウッドを振り抜いた。打球はグリーン手前にキャリーし、グリーンの傾斜でフックラインを描き、左エッジから4ヤードの手前ピン1メートルについた。

11、12番では連続バーディー。17番パー5は残り260ヤードから、3番ウッドで2オンさせ、7メートルのイーグルパットはカップ脇に止まった。2個目のイーグル逃すと、笑顔でタップインしてバーディーを決めた。

「トップ? いや、ほとんど見れなかったです。後半に何度かボード見た時はなんかボンヤリしてて」。「YAMASHITA」の名前が、中盤でリーダーボードの1、2位を行き来した状況が不思議そうだ。

今季、国内ではトッププロにのし上がった。出場18戦中10戦がサロンパス杯、サントリー・レディースの2勝を含み5位以内で、賞金ランク1位、メルセデス・ランク2位。同じ新世紀世代(01年度生まれ)で5勝の西郷真央に迫る存在感を見せる。

それでも、初挑戦の海外メジャーは未知数だ。

快進撃の要因を「パットです。2~3メートルのパーパットが残っても、決め切れている」と説明。日本から見れば特殊なコースのリンクスを「攻め方が違うけど、楽しい。自分で考えて、イメージして、打つ。そんな毎ホールを楽しめてます」と言い、イマジネーション全開で挑む。

渋野はメジャー初挑戦の19年大会で、スマイリング・シンデレラになった。大阪桐蔭高3年だった山下は「渋野さんが優勝して“すごいな”って。自分もメジャーで戦いたいと思った」。国内ツアーで西村優菜と同じ最小の公称「150センチ」。初メジャーで、今度は自分が「世界一小さなシンデレラ」の座を狙う。