プロ10年目でツアー1勝の藤田光里(28=AKRacing)がこの日のベストスコア68をマークし、19年6月の下部ツアー・ユピテル・静岡新聞SBSレディースで優勝して以降初の首位に立った。ピン位置が難度を増し、風も強まった中、1アンダーの23位からスタート。3番のボギー先行から、その後5バーディーを奪った。

「予選通過だけ考えて“こつこつ、パーでいい”と思ってました。フェアウエーキープが多く、苦しさが少なく、パットが入ってくれた。“気づけば…”という1日です」。首位浮上した1日を照れ笑いで振り返った。

2日前、28歳の誕生日を迎えた。15年フジサンケイ・レディースのツアー初優勝から7年。「昔はユーティリティーを結構使ってたけど、1度OBして怖くなって」。より簡単に。バッグには1、3、5、7、11番と5本のウッドを入れる。10番パー4で残り185ヤードから11Wでトップし、ピン手前約30ヤードから転がって2メートルにつくラッキーがあった。「そんなもんです」と自嘲気味に笑う。

18年1月に左肘を手術。今春には左太もも裏の肉離れを起こし、ストレッチもままならず、今季はツアー出場全7戦で予選落ちした。「体への怖さがあって、なかなかフルショットができない」と距離も落ちた。

昔のようにはいかない。

「20歳ぐらいの時は“早く引退したい”と思っていたのに、けがをしたり、思うような動きができなくなった頃からゴルフが好きになった。今は推薦でツアーに出させてもらってますけど、自力で開幕戦から出たいですね」。

下部ツアーで賞金ランク上位2人となれば、来季のツアー前半戦出場権が手に入る。そうでなくとも下部ツアー優勝、同賞金ランク3~10位なら、来季ツアー出場権をかけてQTを最終からチャレンジできる。下部ツアーで最高の優勝賞金720万円の今大会は、魅力的だ。

がっつくつもりはない。「経験は積んできたと思うんで、大事なのは気持ちと思います。諦めない。マイナス思考にならない。とにかく大崩れしないように。ハードルは上げません。上げちゃうと諦めてしまうから」。残り2日。28歳のゴルフを実践する。